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「あ、お帰り……!」

 アリスがとたとたと近寄ってくる。僕はぎゅっとアリスを抱き締めた。

「わ、ちょ、チェシャ」
「アリス寂しかったでしょ?」

 べし、と頭に衝撃――と同時にアリスから離される。僕は首だけ振り返って唇を尖らせる。

「痛いなあ」
「お前そいつにベタベタしすぎだろ」
「りゅーいちくんもベタベタしてほしい?」
「はっ!? しっ、してほしくねえよ別に!」

 りゅーいちくんはぼっと顔を赤くすると、ぶんぶんと顔を横に振った。

「素直じゃないなあ、ねえ、ヤマネ」
「知らねえよ」

 はあ、と溜息を吐くと、僕の頭をもう一度叩いて背中を押してくる。そのまま歩いていれば、アリスが苦笑しているのが見えた。

「あ、ねこ…」
「やあ、モトヤ。良い子にしてた?」

 首を傾げて訊ねると、モトヤはぶんぶんと首を縦に振った。その頬は少し上気している。りゅーいちくんとは違って素直だ。僕は笑みを作って背を伸ばしてモトヤの頭を撫でる。

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