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「それじゃ、りゅーいちくんと話せたし、この景色も見せられたし、帰ろうかな」
「そうしてくれ」

 ぐ、と枝に手をかけたところで、りゅーいちくんが慌てたように僕を止める。

「ちょ、ちょっと待て! 俺はどうやって降りりゃいいんだよ!?」
「え、降りられない?」

 そこまで高くないから大丈夫だと思うけど。そう言えば、りゅーいちくんはうっと言葉に詰まる。少し青い顔で下を見下ろすのが面白くて僕はくすりと笑う。

「大丈夫だよ。危なかったらヤマネが助けてくれるし」
「いや助けねーよ…」
「俺だってテメェには助けられたくねえよ!」

 二人が言い合っている間にぴょんと飛び降りる。たんと足が付いて、僕はすぐに顔を上げた。ぽかんとした顔をした彼と目が合う。

「りゅーいちくん、早く降りてこないと僕帰るよ」
「ま、待て。今降りるから」

 りゅーいちくんはぐっと枝を掴んで――勢い良く飛び降りた。

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