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「……どうしてさっきは教えてくれなかったんだ?」
りゅーいちくんはさっと顔を引き締めると、沈んだ声で訊ねてきた。僕は笑みを作ったまま首を傾げる。
「さあ、僕にも分かんないや」
「分かんねえって…じゃあどうして話す気になったんだよ」
「りゅーいちくんがかわいそうだったからかな」
「だ、誰がかわいそうだよ! 別に傷ついてなんかねえからな」
「うんうん、ごめんね」
「やめろ」りゅーいちくんの頭をよしよしと撫でると、顔を赤くして僕の手を払った。りゅーいちくんはこうでなくちゃね、やっぱり。
「チェシャ」
「ん?」
りゅーいちくんとじゃれていると、木の下から僕を呼ぶ声。見下ろすと、ヤマネが立っていた。
「あ、ヤマネ」
「お前がいそうだなと思ったら本当にいた」
「流石だね。ていうか、体は? もういいの」
「まあ、少し休んだからさっきよりはだいぶいい」
確かにさっきより顔色がいい。僕はそっかと笑む。ヤマネはちらりと僕の隣に視線を遣った。
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