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「りゅーいちくんは僕が……っていうか、僕たちが何者なのか知りたかったみたいだけど。今もその気持ちは変わってないの?」
りゅーいちくんは無言で頷いた。僕はりゅーいちくんの手首を掴んだ。びくりとしたりゅーいちくんは、今度は僕の手を振り払う。目を見開いていて、ちょっと間抜けな顔だ。
「あ、あぶねえだろ!」
「掴んだだけじゃん」
「落とされるかと思ったぞ」
「やだなあ、今は落とそうとなんかしないよ」
「今はって…」
ひくりとりゅーいちくんの口が引き攣る。僕はにこりと笑ってもう一度りゅーいちくんの手首を掴むと、僕の耳に持っていく。状況が飲み込めないようで、りゅーいちくんは目をぱちぱちと瞬いている。
「触ってどう思う?」
「…え、な、なんつーか、すげー本物っぽい、っつーか…」
「うん。本物だからね」
「…はっ?」
僕はさっとりゅーいちくんの手を耳から離し、口角を上げる。本当は耳や尻尾を触られるのは嫌だけど、こうした方が手っ取り早いから触らせてあげたのに、反応が薄くてちょっとがっかりだ。そんなことを思いながら本物だということをバラすと、りゅーいちくんの目が点になった。
「本物って……」
「ヤマネのもね」
「い、いや……嘘だろ?」
「本当のことだよ。僕こんなことまでして嘘なんて吐かないから」
っていうのは嘘だけど。ということがバレているのか、りゅーいちくんも胡乱な目で僕を見てきた。
「僕はワンダーランドっていうところの住人でね。気がついたらこの世界にいたんだ」
「そ、そんなこと信じられるかよ…」
「信じないなら信じないで別にいいよ」
突き放すように言うと、りゅーいちくんはぐっと眉を顰めた。
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