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「あぁ、チェシャ。ヤマネたち――というかヤマネは早く帰した方がいいぞ」
レンはテーブルの奥に置いてあった籠からクッキーのを取り出すと、かじりついた。さくりと気持ちの良い音が鳴る。
「そうは言っても、僕帰り方知らないんだけど。ヤマネが聞くかも分からないしね」
「お前の言うことなら聞くだろ」
「まあね」
ん、と渡されたクッキーを受け取り口に含む。ナッツの香りがふわりと口に広がる。
「あと百緒隆一も早くフォローした方がいいと思うけど」
突然出てきた名前に少しだけ動揺する。僕はじろりとレンを見た。レンは僕の反応を楽しむように口角を上げた。僕は笑みを貼り付ける。
「へえ、そんなことまで知ってるんだ」
「そりゃあ…」
「俺は何でも知ってるから――でしょ」
「そ」
「ま、いいけどね。……りゅーいちくんのことはレンに言われなくてもなんとかするよ」
僕はもうひとつクッキーを食べると、ぺろりと唇を舐めた。
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