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息が詰まる。
「――僕が帰りたくないと思ってるって言ってるわけ?」
「そうダナ」
「そんなわけないでしょ」
「そうか? お前が一番分かってるダロ」
Yはにやりと笑う。そこで紅茶の入っているであろうティーカップを持ったレンが近づいてきた。
「はい、どーぞ」
「うん」
僕はテーブルに置かれたティーカップをぼんやりと見つめる。少し揺れるそれは、僕の心を表しているようで、なんとも言えない気持ちになった。
「別に急いで戻る必要ないんじゃねーの?」
レンはふうふうと息を吹き掛け、紅茶を冷ましている。湯気が僕の方にゆらりと流れてきた。
「戻りたいなら戻りたい。戻りたくないなら戻りたくない。それでいいと思うけどな」
「簡単に言うけど――」
僕が戻りたくない、なんて言ってしまったら、ヤマネたちの姿が頭に浮かぶ。僕を追ってここまで来た彼らへの裏切りであるように感じる。僕の帰りを待ってるであろう女王だってそうだ。
「焦るなってことだよ。な?」
Yは無言で頷く。
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