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「僕の部屋でいいよね」
「……ああ」
僕はヤマネの腕を引っ張る。あ、と思って首だけ振り返る。
「りゅーいちくん」
りゅーいちくんは何かを考えていたようで、ハッとした顔つきになると、僕に視線を移した。
「…なんだ?」
「だめだよ」
「……っな、なにが」
強張る顔。……ん? と僕は首を傾げ、にこりとりゅーいちくんに笑みを向けた。
「アリスを虐めちゃだめだよ」
「はあ!? い、虐めねえよ!」
叫んだあと、ほっとした様子のりゅーいちくん。僕顔を前に戻し、くすりと笑う。ヤマネはそんな僕を呆れたように見た。改めて腕を引っ張ると、ヤマネは大人しく僕の後をついてきた。いつものヤマネもいいけど、こういう弱ったヤマネもレアでいいなあ。僕がニヤニヤと笑っていると、ヤマネが僕の背中を殴ってきた。
「痛いなあ」
「嘘吐け」
「嘘じゃないよ」
まあ、嘘なんだけど。全然痛くない。本当にきついんだろうなあ。……ほんと、僕だけ普通っていうのはどうしてなんだろう。最初からこんな感じだから慣れたってわけじゃないと思うんだけど。
僕は視線を宙に遣る。Yが、関わってるのかなあ。ヤマネもYのことを気にしてるし。……ま、Yが戻って来たら訊けばいいか。
ドアを開けると、ヤマネの背を押してベッドに転がす。
「てめっ」
「んじゃ、ゆっくり休んでね」
僕はにっこりと笑うと、ヤマネの怒りが飛んでくる前にドアを閉めた。
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