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「りゅーいちくんは家の場所知ってるの?」
「家の場所? あー、まあ……ん? そういや知らねえな」

 りゅーいちくんが顎に手を当てて考える。僕はなあんだ、と呟く。すると、りゅーいちくんはむすりと顔を顰めた。

「つーか、どうでもいいだろ、高萩なんて」
「うん、まあ別にいいんだけどね」
「……よくねえ」

 ぼそりと呟かれた声にぴくりと耳が反応する。相変わらず顔色の悪いヤマネ。僕は首を傾げた。

「ヤマネはなんでそんなにYが気になるの?」
「…ちょっと気になることがあるんだよ」
「ふーん? まあいいけどさ、ヤマネそろそろ休んだら?」

 ヤマネは弱々しく首を振る。僕はその言葉を無視してヤマネの腕を掴んだ。

「おい、チェシャ」
「アリスも心配してるしさ」

 ね、と部屋の奥を見ると、アリスが立ったままぎゅっと手を握り締めている。僕はアリスに甘いけど、ヤマネだってアリスには優しいからね。こんなに心配されたら聞き入れるんじゃないかな。

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