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「りゅーいちくん、ヤマネのことが気になるの?」
猫野郎がくすりと笑う。ヤマネのことを見すぎたようだ。俺はチッと舌打ちをして顔を逸らす。すると、アリスと目が合った。びくりと震えて怯えたように俺を窺ってくる。……こいつ、女じゃねえか? ここの生徒でこういう奴は沢山いるが、体つきが男に見えない。じっと観察すると、更にびくびくとしながら口を開いた。
「あ、あの…何か…」
「いや…」
「アリスが可愛いから惚れちゃった? でもアリスはだめだよ」
にや、と笑ってアリスに身を寄せる猫野郎。惚れたって、んなわけあるか。俺はお前が…。なんて言えず、とりあえず否定する。
「ちげーよ」
つうか、なんだ。結局お前はどっちが好きなんだ。分からねえ。知りたいと思う反面、知りたくないという気持ちもある。くそ、と心の中で吐き捨てる。
「チェシャ」
「ん?」
ヤマネが横目で猫野郎を見る。それに首を傾げて答え、続きを待つ。
「…ちょっと出て来る」
「ええ、行っちゃうの?」
「ああ。できるだけ早く戻る」
そう言って、立ち上がる。「ヤマネさん…」小さく呟くアリスと一度目を合わせると、背を向けた。俺はその背を見つめ、眉を顰めた。
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