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「あの…ヤマネさん、どうかしたの?」
「あ? ……別に、あいつの言ってることを確認したかっただけだ」
「あいつの言ってたこと…」
アリスはんん、と眉を顰めながら、宙を見つめた。思い出そうとして無理だったのか、アリスは首を傾げて終わった。あいつ、ねえ…。ハートのトランプかイカレ帽子屋か、それともιなのか。…まあ、どうでもいいか。
「おい、チェシャ」
「ん?」
「あんまりここの奴らと馴れ合うんじゃねえよ」
僕はぷっと噴き出す。
「なあに、それ。嫉妬?」
「なっ!? んなわけねえだろ!」
顔を赤らめるヤマネにニヤニヤが止まらない。ヤマネはチッと舌打ちをして、ぼそぼそと言った。「ここの方がいいとか言いださねえようにだよ」
「ここの方がいい? あそこに戻りたくないって、僕が思うとでも?」
「分かんねえだろ。お前は特に」
確かにここは楽しいけど、僕のいるべき場所はワンダーランドだ。どっちかを選べって言われたら間違いなくワンダーランドを選択する。それが当然だと思うし、僕がそうしたいからだ。
「大丈夫だよ。僕はあそこが好きだからね」
僕は笑ってみせる。ヤマネは僕の答えに不満なようで、渋い顔をしていた。アリスも、不安そうに僕を見上げた。
「そうだ、キミたちを僕の部屋に案内するよ」
そっちの方がゆっくりと話せるだろうし、モトヤが帰ってきたら、紹介しよう。僕の言葉にヤマネたちが頷いたのを確認して、僕たちは再び移動した。
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