俺は出会った!(習慣は第二の天性なり)

(side:カズマ)





どーも! 俺、山根カズマっていうんだ! まあ自己紹介も程々に、早速今日のこと話そうと思うんだ! すげーんだよ、聞いてくれ!
 今日、家から寮に帰ってきたら門の前に知らない奴がいた。そいつは遠目からでも目立っていて危ない奴かな、と思ったけどそんなはずねぇよな! と結論づけた俺は近づいた。正直に言おう、すげぇ格好良かった。学園も美形揃いでいい奴らばっかだけどさ、桁違いに綺麗な顔(男前なんだけど可愛さも持ち合わせてるっていうか)してたんだよ! 思わず立ち止まって見惚れてしまった。か、勘違いすんなよ!? 俺はホモじゃないからな! ちょっと吃ってしまったけど、そいつに話しかけるのに成功した。綺麗なアーモンド型の赤紫っぽい瞳が俺を視界に入れた。思わずどきり、胸が鳴った。いや、だって仕方ないと思う! 異世界の奴みたいなんだ! 雰囲気とか服装とか! 異世界というよりは漫画の中から出てきた感じか? って、そんなのどーでもいいって! さっき話しかけたときに不思議な格好だな、っていったんだけどさ、よく見たら耳と尻尾ついてんだ! コスプレかな! ってことはオタクってやつなのか…。いや、でも似合ってる! 漂う…い、色気っていうか、フェロモンっていうか、兎に角凄くて、美形な友達に感じたことない気持ちで一杯だった! あっ、友達に色気がないってわけじゃないぞ!
 序でにさり気なくコスプレかと訊いたら作り笑いで腹が立った。だから思わず怒鳴ってしまった。俺、こう見えて人の表情とかには敏感なんだ! あ、こう見えてってのは、ゴワゴワの鬘(洗濯可能)に瓶底眼鏡をしてるんだ。父さんがしていけって五月蝿くて! だけど家族には強く言えなくて、仕方なくつけてるんだ。顔半分がそれ半分で覆われてしまって、鏡を見て誰だよって突っ込んじまった! だってすげぇ根暗っぽいんだ! 俺が友達できてなかったら絶対父さんの所為だよな…。あっと、言ってなかったけど俺、編入生なんだ! 頭は良かったんだけどさ、前の学校で問題起こしちまって、いくところがないから五月にこっちきた! 試験が満点で無事編入。あんな簡単な試験問題で大丈夫なのか、ってちょっと心配になったぜ!

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