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「ショキって誰なの?」
「ああ? ……あー、お前は見たことねえか。美野原のことだ。美野原健吾」
「ミノハラ…」
ああ、なるほど。生徒会の書記って役職なんだね。納得してふんふんと頷くと、りゅーいちくんが顔を顰めた。
「何で書記が…」
「会計さんのことじゃないの? 生徒会関係の話だったら」
「いや、それはどうだかな」
ヤカタニは腕を組んでトントンと指で腕を叩く。
「あいつが話してえのは副会長のことじゃねえか」
「その通りです」
ガラッとドアが開いて、そこに立っていたのは黒縁眼鏡を掛けた、黒髪の男だった。きっちりと制服を着ていて、ここだと浮いている。
この人が、もしかして書記さんなのかな?
「館貳先生。僕はいつまでここで待っていればいいんですか」
「おお、悪い悪い」
全く反省していないような、――それどころかニヤニヤ笑っているヤカタニを不機嫌そうに睨んで、僕に視線を移した。
「そういうことで、ついて来てくれないか」
「ホントに話だけなんだろーな?」
いいよと返事をしようとした時、りゅーいちくんが書記さんに言葉を投げかけた。書記さんはすっと目を細めると、僕からりゅーいちくんに視線を変えた。
「君は――…ああ、転入生の犬か」
「なっ……、誰が犬だ! 犬はてめぇだろ!」
ぷっ。犬だって。
でも、ヤマネに似てるし――僕からしたらネズミ、かな。
僕は静かに立ち上がって、書記さんに近づいた。
「おい――」
「来てくれるんですか」
「うん、別にいいよ。行っていいよね、ヤカタニ」
「おう、行け行け」
猫。そんな声が聞こえて、モトヤの方を見る。寂しそうな顔をして見てくるものだから、僕は吹き出しそうになった。うん、犬はモトヤだな。りゅーいちくんより、犬っぽいよ。
僕は笑みを作ると、ひらひらと手を振って書記さんの後を追って教室から出た。
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