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 まさか会長が雇ったアサシンとかじゃないよね?

「あいつなんなのさ〜。ぶっ飛んで気絶とか最悪だよ」
「ぶっ…!? ……早速やりやがった…」

 げんなりとした顔をしている会長。いや、ほんと、どういう関係なの。

「つーか、大丈夫なのかよ?」
「大丈夫に見える?」
「見えるな」

 大丈夫じゃねーし。めっちゃいてーし。俺はムッとして会長を睨む。会長は呆れ顔で溜息を吐いた後、こう言った。

「もうこんな目に遭いたくねえならあいつらに近づくなよ」
「はぁ…? そんなん言ってもさあ、カズマがあの猫野郎に近づくんだけど」

 俺だって近づきたくない。けどカズマが危ない目に遭うでしょそれじゃ。

「……俺は言ったからな。どうなっても知らねえぞ」

 突き放すような言い方に頭に血が上る。体が痛いのも忘れて起き上がる。

「なにそれ。会長はカズマが危険な目に遭ってもいいと思ってんのぉ?」
「そうは言ってねえだろ」
「最近会長カズマに冷たくなぁい?」
「別に」

 会長は青い顔のまま澄ました様子で答える。確かにカズマのこと嫌いになったとか、そういうんじゃないだろうけど、絶対前より冷めてる。

「恋に夢中なのは勝手だけど、いい加減仕事しねえと……わかってんだろーな?」

 ……なにそれ。会長だって、最初は遊んでたくせに。
 黙っていると、会長は溜息を吐いた。そして踵を返す。そして何も言わずに保健室を出て行ってしまった。

「会長のばーか…」

 前は、仲が良かったのに。――カズマが来てから変わっちゃった。パッと頭に浮かんだことを慌てて消した。

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