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 僕はいよいよ女王の城――基学園の敷地内に入った。どうやら今日は授業がない日―休日―らしく人間の姿はちらほらと確認できる程度しかいなかった。詳しく言うと僕を見て吃驚している人やヒソヒソと話している人、ベンチに座って本を読んでいる人がいた。かと思えば全く関心がなくこっちを見ない人もいる。
 ふーん、ここの人は活動的じゃないんだね。イカレウサギに垢を煎じて呑ませたいくらいだ。いや、嘘だけど。大人しいウサギなんて気持ち悪すぎる。って、そんなのはどうでもいいよね。
 Yの横をフラフラと歩きながら、辺りを見渡す。何だか森みたいなのがある。これは普通なのかと訊いてみたらここではな、と苦笑された。その反応を見るとどうやら一般的なものではないらしい。ここでは金持ちだから何でもありってことらしい。ふうん、まあどうでもいいけど。
 さて、森をみてみると寝心地の良さそうな木があった。人間はどれも同じに見えるというけど、僕には分かる。あの綺麗な幹にいい色の葉。好みだ。

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