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ふらふら〜っと近づいて行くと、副会長さんがこっちに気づいてキッと睨んできた。ふふふ、良い顔してるねえ。ワンダーランドの住人はリアクションがあんまりな奴が多いから、こういうのは新鮮で良い。
「…なんですか」
「来ちゃ行けなかった?」
にいっと笑うと綺麗な顔が不愉快に歪む。隣にいた茶髪の男が僕を見て笑う。と言っても、目は笑ってないんだけど。
「君さぁ、何考えてんの?」
「何考えてると思う?」
僕の答えがお気に召さなかったようだ。茶髪の男は舌打ちして、僕から視線を外した。
誰かと話していたカズマが突然こっちを見て、僕と視線が合った。口を大きく開けると、近づいてきた。その時カズマと話していた人がこっちを睨む。会長さんやイカレ帽子屋よりの容姿だ。眉間に皺がたくさん寄っていて、不機嫌そうな顔つきだ。
「なあチェシャ!」
「ん? どうしたの?」
カズマが僕に話しかける度に皆顔が歪んでいく。愉快だねえ、まったく。
「その耳、触ってもいいか!?」
「……え?」
僕の自慢の笑みが――ぴしりと固まる。
――しまった。そう思った時には既に遅く。
「実は俺も気になってたんだよねえ、それ。――触ってもいいかなァ?」
茶髪の男がにやあと笑う。僕は柄にもなく舌打ちをしそうになって、慌てて笑みを作る。そしてあくまで自然な動作でカズマを引き剥がし――たかったけど、カズマの拘束力が強くて無理だった。
……あれ、これ、やばい…かな?
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