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「で、結局来たんだね?」
「……うるせー」

 ニヤニヤと隣を見れば、仏頂面のりゅーいちくんの姿。

「なあ、チェシャ」
「ところで琉生ってどの人?」
「お前を見てすげー嫌そうな顔をしたやつだ」
「おーい」
「ああ、あの人ね」

 ついでに副会長。りゅーいちくんのその言葉に会長さんが浮かぶ。確か、副会長ってのは生徒会の役員なんだよね? ということは、この人たちが仕事を放り出して遊んでいるのか。うん、というか何だか見たことある人たちだなあ。前にも会ったような気がする。

「おい、無視すんなって〜」

 ずしりと背中に何かが乗る。僕はふうと息を吐いて、背中に体重をかけている彼に声をかけた。

「どうしてここにいるのかな、レン」
「チェシャが来るって聞いて」
「ふうん。どうでもいいけど重いから退いてね」
「はいはいっと」

 レンはひょいと僕から退くと、りゅーいちくんに笑いかけた。

「いやあ、まさか百緒も来るなんてね」

 その言葉にりゅーいちくんは舌打ちだけを返した。レンはやれやれと肩を竦ませると、顎に手を遣った。

「時にチェシャ猫くん。…お前の知り合いが来ているらしいな?」

 知り合い……帽子屋たちのことだろう。

「よく知ってるね」
「神様だからな」

 躍けて言ってみせるレンに口角が上がる。りゅーいちくんは変なものでも見たような顔でレンを見ている。

「しかし、誰がこっちに来させたんかねえ…?」
「何だっけ、ι…? とかいう人がやったみたいだけど」
「……ふうん、ιね?」

 レンは眉を顰める。僕はレンから視線を外し、カズマたちに向ける。あっち、楽しそうだなあ。

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