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 とりあえず部屋に帰ると、モトヤと──何故かりゅーいちくんがいた。そういえばとイカレ帽子屋が来た時のことを思い出す。あの時、りゅーいちくんといたんだっけね。それからずっとここにいたのかな? モトヤと仲悪いのに意外だな。

「…やっと帰ってきたのかよ」
「……ねこ」

 イライラとした様子のりゅーいちくんとしょんぼりした顔をしているモトヤ。二人に笑みを向けると、後ろにいるイカレ帽子屋が大きな舌打ちをした。

「他にもいんのかよ」
「りゅーいちくんはこの部屋の住人じゃないけどね? モトヤは同室者だよ」
「俺ァ聞いてねーぞ」
「そりゃあ、言ってないからね」
「アァ? 言えよ」

 イカレ帽子屋は僕の耳を鷲掴んでぐりぐりと動かし始めた。本気でされたら凄く痛いだろうけど、少しくすぐったいくらいだ。僕は、帽子屋の腕を掴んで止めさせた。

「くすぐったいよ」
「そうか」

 怒るかと思った帽子屋は面白そうに目を細めると、耳を放した。
 ずっと黙っていたモトヤが眉を顰めて帽子屋を指差す。

「…ねこ、だれ、?」
「指差すんじゃねえよクソが」

 モトヤはその言葉に顔を歪める。僕は帽子屋をちらりと見て、にぃっと笑った。

「イカレた帽子屋さ」

 嬉しい褒め言葉だな、とイカレ野郎は笑った。

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