3

「お前が俺のことすげー好きなのは良く分かった。だから、俺の恋人にしてやる」

 ……ん!?
 さあっと顔が青くなる。ちょっと待ってくれ! 俺は男と付き合いたくない! しかも初対面!
 質の悪い冗談だと思いたかったが、先程からの発言や真剣な顔は冗談には思えなかった。

「無理無理無理無理! 無理です!」
「照れなくていいぜ」
「照れてねーよ! 気色悪い! 近寄るんじゃねえ!」

 鳥肌立ったわ!
 思わず敬語も取れて肩に置かれた手を振り払えば、会長は少し悲しそうな顔をする。ずきりと良心が傷んだ。

「あ、す、すみません」
「お前が先に好きだって言ったのに」
「え!?」

 そんなこと言ったことない。何度も言うけど会長とは初対面だし俺は男は恋愛対象外だ。

「親衛隊の奴に言ってただろ。格好いい、好きだって」
「そんなこと…」

 言ってない、と否定しようとして俺はあることを思い出した。親衛隊のクラスメイトの話に付き合わされている時のことだ。

『会長様本当に素敵…。ねえアンタも会長様格好いいと思うよね!?』
『う、うん…思うよ』
『あれだけ完璧なんだから皆惚れちゃうに決まってる! アンタも勿論好きだよね!?』
『う、うん…好きだよ』

 あれは仕方なく言っただけなんだ…! はいって言えって目が語ってたんだ…!
 まさか会長がそれを知っているなんて。しかも何、会長俺のこと好きなの? 何で?

「あの、それは…」
「俺もあの時一目惚れしたんだ。でもお前、俺に近づいてきそうになかったからな。だからあいつを利用した」
「……つかぬ事を伺いますが、どうして俺が制裁したと…?」
「親衛隊の奴がお前がやったって言った」

 あいつら裏切りやがったな! 涙目になって俯くと、会長が抱きしめてきた。

「泣くほど嬉しいのか? 可愛い奴め」

 もはや会長の言葉に突っ込む気力がなかった。見下す奴らの視線や雑用にやっと慣れたのに。本当に、いい加減にしてほしい。俺は無言で会長の温かい胸に体を預けた。













fin.

あいたたな俺様を書きたかったので。
なんやかんや絆されそうな主人公くん。

以下登場人物紹介。



かわいそう。
無理矢理会長の恋人にされた。

会長

勘違い野郎。
頭はいい。残念なイケメン。


[ prev / next ]

[back]