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ネカマ受け/美形×平凡/gdgdで長い





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『オフ会やんね?』

 そう提案したのはアサだった。俺は恐れていた事態が遂にやってきたと顔を青くする。これは、何としてでも断らなければ。汗の滲む手を一度ぎゅっと握ってからキーボードに指を滑らせた。無理と打ち込み、エンターキーを押そうとしたところで新しい書き込みが画面に表示される。

『いいね』
『俺も賛成』

 ――ヤバイ。二人が賛成してくるとは。ムードメーカー的存在なKONは兎も角、引っ込み思案だというキュウは萎縮して断ってくることを予想していた。

『亜由はどう?』
「うっ……」

 俺は思わず唸る。こんな状態で賛同しない俺は完璧KYだし、空気が悪くなる。折角親しくなったのに、離れていってしまう。でも、俺には断らなければならない理由があるんだ。口をキュッと結んで文字を打ち込む。

『でも…私、恥ずかしいし』

 ――俺は所謂ネカマという奴だ。別に深い意味はなかった。というか、元々そんなつもりはなかった
。苗字の鮎田から亜由という名前を付け、プロフィール画像に好きな花に設定したせいか、初めて絡んできたKONは、亜由ちゃんと呼んできた。男に対してちゃん付けかよと若干引いたが、チャットしているうちに、KONが勘違いをしていることに気づく。

『亜由ちゃんって男みたいな喋り方するよな』

 何言ってんだよと白けた目で見たが、つまり俺のことを本当に女だと思っていたのだ。俺は慌てて訂正しようと思ったが、面倒で止めた。どうせバレないことだ。これがネットの怖いところで、俺が一人称を私にしていれば、割と男らしい発言をしていてもそういう性格の女だと勘違いを起こしてくれる。

『俺だって恥ずいよ。でも、会いたいって気持ちの方が強いんだ。なあ、どうしてもダメか?』

 アサの言葉に、罪悪感が募る。だって、会ったら……。会ったら、全てが終わりなんだ。俺はネカマだって罵られて、軽蔑されて…。その時のことを考えてぞっとする。
 でも、こう言われて断るのも何だか申し訳なかった。俺は暫く考えた後いいことを思いつく。俺が代理で来たということにすればいいんじゃないだろうか? そうすれば、会話に加わることはできないにしろ、会うことはできる。俺は一度三人に会ってみたかった。ごくりと唾を飲み込んで、俺は了解のメッセージを打ち込んだ。

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