空気読めない人と愉快な仲間たち


 私は溜息を吐きながら久和に掛け直す。ワンコールの後繋がった。早! 何、スタンバってたのかお前!?

『はいよー! 采架くんの大好きな久和くんだよー!』
「切るぞ」
『まあまあ待ってくれたまえ、まだ俺は用件を話していないよ!』
「用件?」
『今日クリアしたゲームなんだけどもね、』
「切るぞ」

 お前のゲームの話なんて興味ねぇわ! まだ何だか喚いていたけれど、相手をするのが馬鹿らしくなって即通話終了ボタンを押した。
 携帯を閉じると同時にポニーテールが飛びついてきた。まるで猿だ。取り敢えず落ち着いて…!

「なあ、マジでそれで会話ができんのか!?」
「はい、まあ…」
「すげぇ…」
「ほー、俺らのとこでは考えられねぇな」

 空気みたいに静かだった赤髪の人があちこち弄り回す手を止めて感心しながらこっちを見ている。

「ふうん、面白いね、それ」

 そういいながら三日月に目を細める姿は表すならチェシャ猫のようだ。面白いというわりに私を何も信じていないという壁が見えてぞくりとする。
 私が何かおかしなことをしたら俊敏な動きで斬ってきそうだ。
 微妙な空気になっている中、ある意味空気を読んだ赤髪が気がついたように声を漏らした。

「……って、あれ? 新八どこいった?」
「あっ、ホントだ! 新ぱっつぁんどこにいったんだよ!?」
 気がつけば新八さんの姿はなかった。普通この場面でいなくならないよね!? 普通初対面の人間でしかもこの時代に来たばかりの人(その内一人は警戒心剥き出し。でもポニーテールも赤髪も完璧に信じてはいないように見える)を置いていくか!? トイレ? トイレなの?

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