新八さんの顔が霞んでいく(笑)


「え?」
「は?」
「ん?」

 どうやら三人は混乱しているようだ。目を見開いて新八さんを見ている。新八さんは新八さんで三人を視界に入れると石のように固まった。何だろう、この状況…。

「うわあああああ!?」

 急に叫んだ新八さんは私と三人を交互に見る。その声に我に返った三人。

「しっ、新ぱっつぁん、何してんだよ!」
「お前らこそ何でここにいんだ!?」
「押入に入って気がついたらここにいたんだよ」

 三人揃って押入に入る状況が全く浮かび上がらないが、兎に角この四人は知り合い――どころか、この様子だと仲がそこそこにはいいのだろう。茶髪で長髪の男が新八さんに向けて犬のように吠える。タジタジになった新八さんは私に救いを求めるように見て来たが、どうしろっていうんだ。この人たちの関係性も何も知らないっていうのに。

「ねえ」
「え?」
「君さ、新八さんとどういう関係なの?」

 最初に刀を向けてきた茶髪の男が急に話しかけてきた。どういう関係って……え、どういう関係なんだろう。

「強いていうなら居候…でしょうか?」
「何で居候なんかしてるのさ?」
「え、知りませんよそんなの」
「…そう」
「えーっと、采架っていったか? ここは一体どこだ?」

 あれ…物凄くデジャヴなんですが。そういえば新八さんの知り合いだからこの時代の人間じゃないんだったか。え、っていうことはこの人たちも江戸時代の人? そして押入から来た新八さんの親しい知り合いということは新選組っていう可能性が高い。久和が喜ぶ姿が目に浮かぶ。何で私の家なんだよ。久和の家にしろよ……。
 茶髪との話(というか尋問だけど)に割り込んできた赤髪の質問に、またあの面倒くさいことを言わなければならないのかと溜息を吐く。茶髪と赤髪(今気づいたけどこの人たち凄い美形だ。新八さんが薄らいでいく)は訝しい様子で私を見るのが分かった。

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