新選組はそんなに暇なんですか


 あれから早一ヶ月。往き来できることを知った新八さんは毎日ではないけれど頻繁に来るようになった。日に日に来る回数が増えたし、新選組というのは暇なのだろうか。よく知らないから何とも言えないけど、新八さんから幹部の話は聞いた。近藤さんは人柄が良いだとか土方さんは鬼の副長と呼ばれていて、いつも眉間に皺を刻んでいるだとか。よく聞くのが藤堂さん、原田さんだ。新選組の中でもこの二人は(特に原田さんは)かなりの仲良しなのだという。あとはよくされる話と言えば政治の話だが、私に分かる筈がない。
 向こうがこっちの世界に行けるんだから私だって行ける筈、とクローゼットに入って何も起きなかったときはかなり恥ずかしかった。
 今日も今日とて新八さんは家で寛いでいる。それはもう我が物顔で。勝手知ったる他人の家、まさにそれだ。トイレやテレビ(それに録画)の使い方を最初こそ教えていたけどもう現代人のように使いこなしている。
 さて、その新八さんだが只今外に興味があると言うのだ。まあこっちにいるなら中も外も同じようなものだろう。それにちょっと洋服着た姿も見てみたい。そういうことで、今から出掛けようと思います!












「へえ、間近で見ると更にすげえや」

 ビルに囲まれた街を見て感嘆の声を上げるのは未だ着物姿の新八さん。父さんの服は箪笥の中から一着残さず消えていて(何も全部服持ってく必要ねえだろと思う)、仕方なしにこのままだ。物凄く目立っている。動物園のパンダの如く目立っている。着物で歩いているだけで目立つというのに、その着物は前がはだけていた。露出魔で捕まっても私は知らない。

prev | next


back main top 
しおりを挟む

15/27