朝カレーで何が悪い


「やあやあ、おはよう! いや、こんにちはかな? うん、こんばんはでもいい。取り敢えずどうだい、永倉新八は」
「あー、うん、何かふざけてクローゼットの中に入ったらいつの間にか居なくなってた」
「なに!?」
「ところで久和」
「うん? 何だい」
「それ一週間前の話なんだけど」

 今更お前何訊いてんの。毎日、否、毎日じゃないけど少なからず会ってただろ。馬鹿じゃね。ていうか今までその話題出なかったってのも色んな意味で凄いな、おい。因みに(新八さんが)ふざけてクローゼットの中に入ったと新八さんが原因として話してはいないからね。そこらへん誤解しないでもらいたい。誰に、って話だけども。……強いていうならもう一人の自分かなと若干阿保らしいことを考えながら久和を見やる。珍しく真剣な表情をしていて、私も思わず息を呑んだ。

「采架くん…」
「……何」

 躊躇うように視線をさ迷わせたが、覚悟を決めたようで私を見つめる。薄い唇が小さく開いた。


「君、朝にカレーを食べてきただろう。臭いが凄いぞ」

 久和の顎にアッパーをかけたのはいうまでもない。そんなことだろうと思ったさ。つか臭くて悪かったな!











 今更だけど、新八さんがいなくなった……というか、元の世界に帰って早一週間。何事もなく毎日を過ごしているが、ちょっと問題があるとすれば、毎日三食のうち二食がカレーってことかな。流石に飽きてきたしどうにかしたい。
 新八さんの話をした翌日、屋上で私は空を見上げ、久和はフェンスの向こうで相変わらず危なっかしいことをしていた。ふと、久和が口を開く。

「采架くん、采架くん」
「んー?」
「君、またカレーを…」「黙れ、寧ろ小指に針刺さって死ね」「いやはや何とも斬新な死に方だね」

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