ただの筋肉馬鹿ではない


「っはぁー、なるほどなあ。たったの百五十年くれえでこんなに変わるたぁ吃驚だ」

 ふむ、と私の絵を覗き込んで顎に手をやるとテレビに視線を移し、笑みを浮かべた。分かってくれたらしい。久和はさっき新八さんは筋肉馬鹿だと一言残していたが、学がないわけではなさそうだ。確かにはだけた着物から覗いている肌はスポーツマンも真っ青な綺麗な筋肉が無駄なくついているが。

「しっかし、どうすっかなあ。年頃の娘さんと一つ屋根の下、住むわけにはいかめえし」
「いや、別に住んでも構わないけど」
「だよなー、親御さんも――って、なっ!?」

 目を見開いて顔を近づけてきた新八さんは顔を真っ赤にした。

「だっ、駄目だ駄目だ駄目だあああ! 」

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