最近は朝や夕方が特に寒い。サッカーの練習など激しい運動の時には全然気にならないが、終わった後帰ろうとする頃には全身が冷え冷えとしていた。
そりゃ冬だから当たり前と言えば当たり前なのだが。
そして俺神童拓人は今、恋人である松風天馬と帰路についている。今日の練習や授業のことなど他愛ない話をしながら時に笑いあったり、小さな幸せをくしゃりと噛みしめた。

ふと気付くとお互い吐く息が真っ白で、言葉を落とすたびにそれはふわりと宙に浮かぶ。
それには天馬も気付いたようで口に手を当てて白い息を吐いている。そんな姿に思わず可愛いなと呟くと、青い瞳がこちらを向いた。

「キャプテン何か言いました?」
「いや、何でもない。最近は本当寒いな。」
「そうですね。キャプテンの息も真っ白ですよ」

そう天馬に言われて、改めて息をついてみる。先程と同じ様に白がふわりと浮く。
すると天馬が俺を見て何かを思いついた。何故判るのかって?天馬の目がきらきらしてるからさ。
それを犬みたいだと思っていると、いつの間にか天馬の顔が目の前に迫っていた。全く気づかなかったので凄く焦る。

「ななな何だ、てんま、!?」

焦って早口に言葉を紡ぐと、天馬はそのままの体制で何かを食べるようにぱくりと口を動かした。その行動の意味が分からず、はてなマークとびっくりマークを浮かべていると天馬は俺から離れていった。その様子を見届けながら少しざんね…いやというかさっきのは一体何だったんだ?そして混乱する俺とは反対に天馬は少しだけ嬉しそうだ。
「て、天馬?」
「えへへーキャプテンの白い息、俺が食べちゃいました!」

天馬は「ちょっと食べてみたいなーと思ったんですよ」とか言いながら頬に手を当ててはにかんでいる。成る程…天馬は俺の吐いた息を食べ…「はあ!?天馬お前、は!」「わ、わ!キャプテン大丈夫ですか!」

顔真っ赤ですよとか言うけどなあ何て恥ずかしいことをしてくれるんだお前は!!!
何だか嬉しくて嬉しくて悔しい俺は天馬にさっきと同じことをしてやった。
天馬は元々寒さで赤かった顔をさらに真っ赤にして「意外と恥ずかしいですねコレ」と言った。
いや、されるよりする方がもっと恥ずかしいぞ。もう勘弁してくれ。お前は可愛すぎるんだ。
全身が燃えるように熱い。いつの間にかさっきまでの寒さはすっかり消えていた。


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