ジロたんBirthDay2013*仁王雅治の計画4




満天の星空が輝く5月3日の夜のこと。
彼の誕生日までのカウントダウンも残り2晩。
もうじき4日になることを思えば、あと1日ともいえる。


「うわぁ〜すっごいねぇ〜!」

「ほら、肩までちゃんと入りんしゃい」


旅館は姉のおすすめ通り、見事な秘境に建てられていた。
送迎の車で山道を進むたびに『大丈夫か…?』と心配するくらい奥へ奥へと進むワゴン。
だが、『お疲れ様でした』の声とともに到着した宿は、まず素晴らしく調和されたお庭。
季節の花々が咲き乱れるのであろう、現在は桜の木がどーんとお出迎えし、その奥にはこれからが季節をむかえる紫陽花の葉が見えていた。

チェックイン時には、姉が機転をきかせていたのか、『仁王雅治』の名のみの記入で済み、取材時に訪れた雑誌社の方の弟2人、というキャッチで迎えられた。
その際、芥川が察して『お兄ちゃん』と呼んだものだから、旅館の従業員らには大学生の兄とその弟と見られたらしく、姉の説明による『弟の高校入学のお祝い』旅行という設定になっていた。
(チェックインシートにはちゃんと17歳で記入したのだが、仲居さんらには大学生とみなされ、片割れの彼は高校入学したての1年生扱いを受けていた)


部屋に通されて、女将にてすがらお茶をたててもらい、旅館自慢のお茶菓子とともに一服。
その際に、旅館まわりに散歩コースを教えてもらい、明日の朝にでも散歩してみようか、なんて会話を楽しみ、一息ついたら大浴場で汗を流した。


「ご飯も美味しかったねぇ〜」

「すき焼きが一番うまかった」


また肉だ、と笑う芥川を抱き寄せて、ともに星空を見上げる。



お風呂をあがり部屋に戻れば、タイミングよく夕餉の支度もされていて、『ごゆっくりどうぞ』と支度された夕飯はどれも美味しく、高校生同士でいただくには大層豪勢な食事に舌鼓を打った。
季節のお野菜の煮びたし、お刺身、香のもの、たきたてご飯、おみおつけ、胡麻和え、焚き物、すき焼き、練り物、酢の物、などなど。
そして食後のデザートに、和と洋の2種類が1プレートに盛られた、目にも鮮やかな春を感じさせる淡く可愛らしいものと、緑茶のセット。

さすが高校生男子とも言うべきか。
用意された料理は量的にもかなりあったが、そのすべてを平らげ、お櫃に盛られた炊き立てご飯も、ゆうに4人前以上ありそうなものだったがキレイに空にした。

芥川もそうだが、特に仁王は普段からそれほど食べる方ではないので、次々に皿を空にしていく様子に、芥川としては少しびっくりしたのだが。


「仁王、珍しくいっぱい食べてたもんねぇ」

「旨かった」


大間のマグロ中心に盛られた刺身も新鮮でたいそう美味かったが、なんといってもすき焼き。
キレイにさしが入った見事なA5ランクの肉は、赤身の状態でもその美味しさが想像できるというもの。


「ご飯とお漬物が美味しかった〜!」

おなかいっぱい!と満面の笑顔を隣の仁王へ向ける。


「どれどれ」


おなかをさわると、確かにいつもよりぽっこりしているようで、そのままなでなでしながら手の位置をさげようとすると、ぎゅっと掴まれた。


「おさわり禁止!」

「二人っきりだ」

「でも、外だし、ダメ!」


部屋数が極わずかなこの旅館は、それぞれ独立した場所に客室が建っており、部屋の露天とはいえ木々に囲まれていて声をあげても、よほどの悲鳴で無い限り周りには届かないだろう。
ほぼ完璧なプライベート空間が、旅館の人気要素のひとつとして確立しているわけだから、この露天であんなコトやこんなコトも、問題ないワケなのだが…
と期待していても、恋人は頬を染めて首を振る。
湯気にあたられたのか、はたまた雰囲気に酔ったのか。


「ここには俺とお前しかおらん」

「…誰かに聞こえちゃうよ」

「防音聞いてる」

「『露天』風呂でしょ!思いっきり外だし」

「他の客室も、ロビーも遠いから、誰にも聞こえん」

「あん…っ…こら」


肩を抱き寄せていた右手をそのままさげて、右の突起をつまみ、ゆるゆる挟んで刺激を与えると、ダメといいつつも甘い声があがる。


「ん…っ」


抗議をあげようとした口をすかさず塞いで、舌を絡め取るとたまらなくなったのか力を抜いてクテッと頭を仁王の鎖骨あたりに乗せ、身を預けてきた。



「もう…だめって言ってるのにぃ」

「ふっ…こっちはそうは言ってないぜよ」

「ひゃうっ」


おもむろに中心を握る仁王に体がビクっと震えるが、おかまいなしに上下に扱かれて堪えようのない声があがる。


「やっ…ダメ!出ちゃ…う…から…っ」

「うん。じゃあ、飲んでやろうか」

「!!」


肩まで湯につかっていた芥川の両脇に手をいれて、ちょうど突き出た岩に乗せ、足を広げさせる。
ちょうど硬くなりだし、首をあげていた彼の中心にそのまま顔を寄せ、ぱくっと加えると両足がピクっと奮え、離させようと仁王の頭を両手で掴む。


「あっ…んんっ…だ…め」


ぎゅっと銀糸の髪にてを添えるが、急に湯からあがったことへの肌寒さと、中心に感じる熱さ、刺激のためか、両拳に力が入らない。
それどころか、自分でもびっくりするくらい早くキテしまい、仁王のなすがまま、彼の口内で達してしまった。


「はぁ、はぁ…っ…」


にやっと意地悪な笑みを浮かべ、『ごちそうさま』と見あげてくる彼の口元についた白濁とした自分のモノを見て、たまらなく恥ずかしくなり前のめりに倒れこむと、両腕でさっと正面から支えられた。
そのまま湯の中で抱き合い、呼吸が整うまで背中をぽんぽん撫でてくれる…が、いつのまにかその手がお尻にまで伸び、割れ目を辿って後孔にたどり着いた途端、パっと顔をあげて仁王を見つめる。



―こんなトコで、最後までヤるつもり…?

―思い出作りは大事だろ

―部屋にお布団しいてあるでしょ?

―布団はもちろん、風呂上がったらな。でも、今は入浴中じゃけ

―のぼせるからお風呂はヤダっていつも言ってるしぃ

―外だから、家の風呂みたいにのぼせんから大丈夫

―仁王は大丈夫でも、オレはボーっとしちゃうの!

―大丈夫、任せんしゃい

―何がだよう…



無言で見つめあい、視線で会話すること数秒………こうなると、折れるのはいつも芥川の方だ。
(というか、決めた仁王は決して引かない。なんだかんだ言いくるめられて、いつも自分の思うように事を進めるタイプだ)



「もう…気持ちワルくなったら、ちゃんと止めてよ?」

「りょーかい」


晴れて許可を得た仁王は、嬉々として後孔に添えていた指をそのままずずっと進めだす。
お湯の力を借りて…というか、熱いお湯が一緒に入り込んできたため、思わず声があがる芥川の額、頬、首筋…
あちこちに唇を寄せてマークを残しながら、両指でしっかりと自身の入る大事なところをほぐしていく。


「んんっ…っ…」

「唇噛まんと、声、出して」


こんな外でなんて、恥ずかしいからぜーってぇ嫌だしぃ…なんて弱弱しく呟くものだから、余計に声を出させたい、と先ほどより指を増やして、彼の弱いスポットを中心的に攻めてやる。


「ひっ…っ…あぁんっ…」


途端にあがる高い声に満足し、右の指1本でリズミカルに彼の弱い部分を押しながら、左の指2本を深く浅く抜き差ししてやると、涙を浮かべてよがり、弱々しく首をふって耐える。


「も…ダメ、だからっ…早く」

「もういい?」

「ん…っ…」


仁王の首に回し抱きついていた手をそろっと外して、彼の中心に手を伸ばしてみると、すでに適度な硬さを保ち準備万端な状態だ。
そのまま体を少しずらし、察した仁王が体内から指をすべてぬいて、彼に任せてみる。


「はぁ、はぁっ…」


十分にほぐされた後孔に、仁王自身の先端をあてて、ゆっくりと身を沈めていく。


「ふっ…っ…んんっ」


ともに入ってきたお湯にキュっと中が締まり、仁王自身もその刺激を受けて一気に高まっていくが、ここで達してしまうわけにはいかない。
ゆっくりと身を沈めている彼の臀部をしっかり掴むと、力を加えて落とし、自らも上へと突き出して一気に貫いた。


「ひぃっ…あぁああんっ」

「かーわいい声じゃの」

「ば、…ばかっ、ーっ!!」

「ほら、ここがお前のイイところ」

「あっ、あっ、んんッ…はぁ、うぅっ…」

「はは、ぎゅっと締まった」

「やっ…言わな…でよ」


たまに実況中継しながら腰をすすめることもあるが、言われるたびに恥ずかしくてたまらなくなる。
自分はこんなにいっぱいいっぱいで、意思と反して上がる高い声がイヤで、抑えたいのに。
『それが可愛い』と笑うし、実況中継している彼はひどく冷静で、どうしてこんなに違うんだろうと考えてしまう。


こうなりゃ今日こそ、自分が『実況中継』してやる!
なんて野望が脳裏を過ぎったが……すでに頭はボーっとしてきて、奥にずんずん突かれて、気持ちよくて、ワケがわからなくなってきて。


ほら、だから言ったのに…



長くつかっている温泉のせいなのか、いやいやテンポよくぐいぐい突かれているせいなのか。
普段も行為中に気持ちよくて頭がボーっとしてきて眠くなるのはよくあるのだけれど、何だかいつもより回るのが早い気がする。


「ね…っ…もう、イッてよ…」


思わず懇願してしまうのも、無理もない。

実況中継どころではない。
早く達してもらわないと、露天風呂でのこの行為が終わらない。

布団だったらまだ勝負できる。
でも、この状態でアップアップな状況でこれ以上続くと、のぼせあがって倒れてしまう。

チラリ視線を向けた仁王はまだまだ元気そうなので、自分がのぼせたとしても適切に処理をしてくれて、布団に寝かせるだろう。
そのまま布団でご無体を働くか、おとなしく寝させてくれるか……判断に迷うところだが。


「限界のようじゃの」


お風呂を汚すわけにはいかんぜよ、なんていまさらなことを言って、芥川を抱えたまま立ち上がった。


「ひゃっ…」

「落ちんよう、ちゃんと捕まっときんしゃい」

「ぬ、抜いてから…っ…に、して…」

「そりゃ無理なお願い」


脱衣所におろされると、大きなバスタオルでささっと水滴をぬぐわれた。
仁王自身も素早くふき終えると、またも芥川を抱きかかえて仲良く並んで敷かれた布団にそっとおろす。


「あんっ…」


急すぎて、ついていけない…



なんて零したくなったが、まだイッテないというか、横たえられた瞬間にぐいと入ってきた彼自身は、はちきれんばかりに大きく成長していて。



「全然まだまだ」

「…ちょっと、眠くなってきちゃったC」

「そうはさせん」

「あぁんっ…はぁ、はぁ、きゅ、急に動かな―っ」

「早いの、好きだろ」



好きじゃないーといいかけた口は押さえ込まれたまま、ふさがれた。



まだ、初日なんですが…と思ったけど、自分のためにここまで用意してくれた彼に、ありがとうの気持ちが大きい。
それに、いっつも色々面倒みてくれるし、エッチのときも何だかんだで最初に寝てしまうのは自分だ。
今日くらいは…彼が満足するまで、頑張って起きてみようかな…


なんてガンガン腰を進められながら考えたいたが、そういえば何の旅行かって?


―自分の誕生日旅行ではないか。


誕生日なのに、こっちが耐えるのか…




「明日はもっと、いっぱい気持ちよくしてやる」

「はぁっ、はぁ…へぇ?!」


誕生日だからな、なんてにっこり笑顔で奉仕宣言をされても。



これ以上なんて、まじまじ無理だしぃ…




せっかく来たのだから、明日も色々みてまわりたいし、ばっちり観光もしたい。
そのつもりで仁王も計画してくれているし、明日回るところも彼の中では決まっているはず。
翌日に影響がありませんように……と願いつつ、腰をすすめる彼の背に両腕をまわし、ぎゅっと抱きしめた。
せめて、少しゆっくりと、、、手加減してくれますように。



そんな芥川の様子に何を思ったのか。

彼の期待にはもちろん反して、最奥まで突いたところでたまりに溜まったものを中で盛大にぶちまけた。
トロンとした目で見上げてくる色っぽい瞳に、果てたばかりの仁王もすぐにまたその気になり、まだまだ夜は長い、とすぐさま2回戦。
気を失ったら止めようかな、なんて軽く考えながら、腕の中の可愛く愛しい彼を抱きしめて、何度も突き上げ甘く高い声をあげさせ、耳でも楽しむ。

最高の初日になったもんだとご満悦に、それでも彼の腰が立たなくなったら困るので多少の手加減…と考慮しつつ。

絶妙な力加減とバランスで続けられた行為は、時刻が日付をまたぐ頃、芥川が気を失うことによって終了となった。
(力尽きて寝たのかは定かではない)





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