光は見つからない

光は見つからない | ナノ

私立海京学園。
小学校から高校までエスカレータで進学することができ、その学力は全国でも上位を誇っている。進学校の割に校則は緩く、自由な校風なので、生徒達からの評判はいい。

俺がこんな見た目でいられるのも、この学園の規則が緩いから。普通だったら、とっくに風紀違反なっているだろう。


しかし問題なのは、男子校だということ。
高校だけで生徒数が1000人を越えているこの学園は、中学までは普通の共学に通っていた俺からは、当初は異質なものとして映った。
どうしても同性だけというのは異質さが絡んでしまうものなのだろうか。入学して一年が経った今でもその異質さが時々感じられて、何だか落ち着かない。




…でも、ここに来ることを決めたのは俺だから。



慟哭することしか出来なかった真っ黒な日々の中で、差し出された選択肢を選んだのは紛れもない自分なのだ。



例えそれが現実から逃げる為の手段だったとしても、俺はそうするしかなかった。
逃げ場所に身を投げて、過去の呪詛から逃げる必要があったのだ。


ここに入学したのには理由があるのだが、それは後々。



それにこんな桜の盛りの時には、そのことについては閉口しておきたい。皆のキラキラした日常に紛れて、カラフルな世界に足をつけていたいんだ。




……思い出したくないことって、あるでしょ?



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