僕が死に至る理由


大人達はいつだって僕のことを「おかしい」と言う。眉を顰めて小さな小さな囁き声で「あの子はおかしい子だよ」といつも言う。
僕はもうそれに慣れっこになってしまった。
言いたいだけ言えばいい。それであなた達の気がすむなら、いくらだって揶揄してくれて構わない。


僕は元々活発な子供だった。外で遊ぶのが大好きで、友達だって沢山いた。博識なあの子は、僕にとって最も遠い存在だった。
今はもう、全てが違うけれど。

僕はある日、愛情が欲しいと思うようになった。両親が与えてくれなかった温かい愛情に代わる愛情を欲しいと願うようになった。成長するに従って見えなくていい心の隙間が伺えるようになってしまった。
寂しくて寂しくて、心が常に虚無感で埋め尽くされていて、無意識に涙が出た。活発で明るい子のままでいれば何の問題もなかったのに、僕等が生きる世界の汚さに僕は気がついてしまった。
僕はそれを、知らなくてよかった。

立派な大人達は様子のおかしくなった僕のことを心配して、「悩み事があるなら私達に言ってごらん?」と言った。能面のような笑みは、僕の心の中の虚しさを更に大きくさせた。

みんな死ねばいい。人間なんていなくなればいい。こんな虚しい思いを背負いながら生きていくくらいなら、僕は早く死んでしまいたい。

活発な僕は跡形もなく姿を消した。
手のかからない良い子になるのは大変なことだけど、面倒で邪魔な子供になることは簡単だということを僕は知った。

…怖いんです。大人になると大切な感情を忘れてしまうことが。純粋に感じ取れていた世界がどんどん濁っていくことが、僕には分かる。感情の種類が徐々に減っていって、鈍くなって、醜い部分だけが大きくなっていく。
嫌だなあ…、そんなのは。

寂しい、寂しい、寂しい……虚無感でいっぱいだ。
僕には居場所がない。考えなくてもいいことばかり考えては、周りの人達に迷惑をかけている。喉の辺りがギュッと締め付けられたように苦しい。上手く息をすることが出来ない。ベッドに顔を埋めながら、僕は頭がおかしいくらいに泣いている。

そうしていたら、博識なあの子が僕に声をかけてきてくれた。
接点のない僕達が深く関わるようになったのは、あの日からだったよね。
ねえ、君は覚えてる?一人ぼっちが二人ぼっちになって、虚無感がちょっとだけ少なくなった。相変わらず僕は毎日泣いてばかりいたけど、君のおかげで前の活発な僕が姿を現したみたいな、そんな感じだった。

………ごめん、嘘。
一人が二人になったのは本当だけど、相変わらず僕は死にたかった。
世の中の大人達に僕は問いたい。「生きることが絶対で善」なのは何故?生きていることは偉くて、自殺をしたら怒られるのは何故?苦しみから逃れられないからという理由で、死ぬことは許されないのはなんでかな。
底辺でも這いつくばって歯を食いしばって生きていかないといけないのかな。

…僕は、嫌だよ。



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