01 『私は今、志村“ダメガネ”新八と日直の仕事をしているのであ〜る』 『おいィィイイ!!!「志村“ダメガネ”新八」ってなんなんですか!?アンタさっきからボーっとしていて仕事してねェだろ!!はぁ・・・ちょっと、**さん黒板くらい消してください』 『やだ。何で私が?ダメガネが消してよ』 『アンタも日直だろうがァァアア!だから、ダメガネって言うなよっ!!』 『・・・はいはい。わかりました〜』 クラスメイトの志村新八とは中学からの知り合いである。 というか、中学・高校と何の縁か知らないがずっとクラスが一緒。 ・・・しかしこの男、クラスメイトに全力でツッコミを入れまくる。 なんでそんなにツッコミに一生懸命になれるんだ? 高校になってからは、担任の坂田“くるくる天パ”銀八先生にまでツッコんでる。 てか、バカか?こいつ・・・ 他の事にその労力使えよ。 私はそう心で考えながら黒板を綺麗にするのであった。 『アンタ、さっきから全部口にだしてんだろうがァァアア!いくら僕だって、泣きたくなるわ!!!』 アハハと笑って誤魔化し日直の仕事を再開する。 あり?ありり??・・・黒板の上の方が拭けない。 だって私背が低いんだもん。 背伸びをするも、届かず・・・足がつりそうになる。 悪戦苦闘をしていると隣に志村新八がもう一つの黒板消しを持って消し始めた。 『**さんすみません。上の方届きませんよね?僕が消します』 あらやだ、見ました?奥さん。このメガネ優しい・・・ 沖田や高杉だったら、バカにされて口喧嘩になっているだろう。 あっ!高杉はきっと何もせず携帯をいじっているか 「そろばん塾あるから」とか言って帰っているだろう。 不良がそろばん塾って・・・笑えるんだけど。 ふふふ、と笑っていると 『**さん・・・恐いですよ。何一人で笑ってるんですか?』 『箸が転がっても笑えるお年頃なの、私は』 『はいはい。そうですね』 『ねぇ、志村新八って何で全力でツッコミ入れんの?疲れない?』 『僕がツッコまないとこのクラス、ボケだけじゃないですか。クラス纏まんないでしょ?』 『なになに〜?じゃあメガネ君は、「俺がいないとクラス纏まんねェじゃん。俺ってコイツ等の面倒見てやってるんだぜ、えらくね?」的な事考えちゃってんの?ダメガネのくせに』 『そんな事いってねェだろうが!しかもさっきから「メガネ」とか「ダメガネ」とかメガネ馬鹿にしてんじゃねェェエエ!!「ダメガネのくせに」ってアンタは僕にとってのジャイアンかよっ!?』 『「〇〇のくせに」ってスネ夫だから。ツッコむならちゃんとやりなさいよ・・・まあいいや、今から私は君の「ジャイアン」になってやろうではないか!取り合えず日誌書け』 『ちょっと・・・**さん。僕マジ凹むんですけど。僕の事そんなに嫌いですか?』 『・・・好きだけど?何か問題でも??』 『・・・え?それって、イジメがいがあるからって意味ですよね?楽しんでるでしょ?僕をからかって』 『う〜ん。それもあるけど・・・純粋に好き?』 『何で疑問形ィイイ?』 『よし!これで恋人同士になったわけだしデートして帰ろう!新八くん、アイスを奢りたまえ!!』 『何で僕が奢る事になってるんですかっ!それに、僕たち付き合ってないですよ・・・まだ』 『そっかぁ・・・新八私の事嫌いなんだぁ・・・』 と上目づかいで彼を見上げる。 『い、いや好きですよ!僕だって中学で同じクラスになった時から・・・ぼぼぼぼぼ、僕と付き合ってください!!』 『しょうがないなぁ。そこまで言われて断ったら可哀想だし付き合ってあげる』 『・・・もう帰っていいですか?』 貴方の一生懸命さが好き。 ツッコミだけじゃなく、私の事に対しても一生懸命になって欲しい。 新八side― 『**さんって今までも好きな人にそんなにキツイ事言ったりしてたんですか?』 『解んない・・・だって私の初恋、新八だもん』 顔を赤く染め眼をそらす彼女の表情は、今まで僕が見てきた中で一番可愛くて・・・改めてこの子を「好き」と思った。 こんな可愛い彼女ができたんだ。 多少の意地悪は大目に見よう。 だって、これが彼女の愛情表現なんだから。 END |