お礼も兼ねてアフターに誘い二人はお洒落なBARに来ていた。
横に座り楽しそうに話している彼女の、酒の所為でほんのり桜色になった胸元に眼を奪われる。
「コイツは抱いたらどんな反応をするのだろうか?」
脳内で犯しゴクリと生唾を飲む。
小1時間程過ごし店を出た。
自分の感情がどうしても抑えられず**の手を握り足早にラブホテルに入った。
部屋に入るや否や、大きなベッドに押し倒し覆いかぶさった。
『SOUGO?』
『わりィ…アンタを抱きてェ。俺のモンにしたいんでィ』
**の返答なんて待たず唇を塞いだ。
次第に深くなりお互いの口内を犯すように激しく、でも優しく。
SOUGOは欲望のまま**を抱いた。
**もまた欲望のままSOUGOを受け入れた。
情事が終わり、**が煎れたコーヒーを飲む。
『私、シャワー浴びてくるね』
恥ずかしそうに眼を逸らしながら浴室に向かう**を素直に可愛いと思った。
コーヒーを飲み終え、ベッドに寝転がりながら考える。
いったい俺に何が起こった?
「客とは寝ない」という自分のルールを破り**を欲望のまま抱いた。
しかも『好きだ』と嘘吐きではなく自然に言葉にだしていた。
『…俺も**に堕ちたって事ですかねィ?』
認めたくはなかったがそれが真実。何とも複雑な気分だ。
大きなため息をつき、疲れからか襲ってきた睡魔に逆らうことなく瞼を閉じた。
シャワーを終えた**は、SOUGOが寝ている事に気付いた。
『SOUGO?』
と何度か呼んでみるが、一向に起きない彼を見てほくそ笑んだ。
どうやら、コーヒーに入れた睡眠薬が効いたようだ。
彼のバッグから、自分が渡した200万と他の客から貰ったであろう700万が入った封筒を取り出し、自分のバッグに入れた。
**はSOUGOに惚れてなんていない。惚れている演技をしていただけ。
『ごめんねSOUGO。でも…私に騙された貴方が悪いのよ?』
ちゅう、とリップ音をたて寝ているSOUGOの頬にキスを落とした。
身支度を整え、振り返ることなく部屋を出て行った。
彼女は走る。愛しい人の元へ。
『上手くいったか?』
『うん。GINの言った通り、700万入ってた』
『そうか、よくやった。…アイツに抱かれたんだろ?これから俺が消毒してやるよ』
二人はネオン街に消えて行った…
ここは、かぶき町。
男と女と金と欲が渦巻く、眠らない町。
今宵も騙し騙され、踊り踊らされ、夜は更けていく…
END