JOY4 | ナノ
いつも繋いでいた手だってェのに・・・繋げねェとは。

横目で**を見る。


以前のように右側の一歩後ろを歩いている。

何でも「俺の姿がよく見えるから」と可愛いことを言っていた。


俺ァやっぱりコイツが好きなんだ・・・俺の右隣を歩く奴はコイツ以外は考えられェ。


そう思った瞬間、**の手を握っていた。

**は振り払おうとはせず、顔を少しだけ赤く染めて握り返してきた。



付き合い始めの頃を思い出す。初めて手を繋いで歩いた時も、**は顔を真っ赤にして俯いていた。

その仕草が可愛くて、俺まで顔が熱くなって隠すので必死になり二人無言のまま帰宅した。



…俺は決心する。

やり直せるならプライドなんか捨ててやる。


俺は、下校途中にある公園に**を連れて行きベンチに座らせた。


『・・・俺、お前ェと別れたくねェ。好きなんだよ。お前ェの事たくさん傷つけてきた。謝ったぐれェじゃ許されねェのは解ってんだ。けど**を手放したくねェ。やり直すチャンスをくれ』



あのプライドの塊みたいな晋助が頭を下げている。

それ程、私の事を好きでいてくれる。素直に嬉しい。

だって、私も大好きだから。


・・・彼を信じよう。


『…ありがとう。やっぱり私も晋助と一緒にいたい。私こそごめんなさい』


そう言うと、彼は私にキスをした。


初めてのキスと同じ場所で、同じく軽く唇が触れる程度のキスを。

ただあの時と違うのは、ギュウっと強く抱きしめてくれているという事。

それに応えるかのように、私も晋助の背中に手を回し強く抱きしめた。



『浮気は絶対許さないからね!女子と二人っきりになるのもナシ』


『はいはい。お前ェ、やっぱ嫉妬していたんだな?クク…』


『普通でしょ。逆だったらどう思うの?私が他の男子と、あんなことやこんなことをしていたらどう思う?』


『・・・相手の男、ぶっ殺す!!』


『自分がされて嫌な事はしないの!今度浮気したら相手も晋助も殴るから!』


『・・・怖ェな』



自分の考えや思いは、相手にきちんと伝えないと解ってもらえない。

これからは、我慢せず彼に伝えよう。

喧嘩になる事があっても、お互いが分かり合えるなら。


・・・もうこの手は放したくないから。






昼休み、屋上で**を待つ。

待っている間に女達が言い寄って来るが冷たくあしらう。

約束は破りたくねェ。


≪もう**を悲しませない≫


あの時自分自身に誓ったんだ。


今日の弁当の中身はなんだろうな?と考えていると


『晋助、ご飯食べよう♪』


とドアを開け笑顔で俺を見る。俺も笑顔で


『遅ぇよ。腹減った』


と言う。



ふと空を仰ぐ。

昨日までは、憎らしかった筈の雲もなく澄んだ青空を、晴れがましく思った。


END                     

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