校門に向かい歩く。
前を見ると見慣れた後姿。
俺は、思わず声をかける。
『**!』
**が振り向く。
『晋・・・高杉君』
『別れたからって呼び方まで変えることねェだろ』
そう言いながら**の元へ急ぐ。
久しぶりに見る彼女は笑顔ではなく、泣き顔だった。
『・・・お前ェ、泣いてんのか?誰に泣かされた?ぶん殴ってやらァ!!』
**は、苦笑しながら制止してきた。
『私だって、泣きたい時くらいあるんだよ』
『俺と別れて・・・楽しく学生生活してたんじゃねェのかよ?』
『・・・そうなる筈だったんだけど。すぐ涙が出てくるんだよ・・・困った』
『だったら・・・別れねェでもいいんじゃねェか?』
『お互いが変わらないと、また同じ事の繰り返しだよ。・・・今日は一緒に帰ろうっか?』
悲しそうに笑う**の頬を濡らす涙を拭いてやりたい…
だけど許されない事だ。俺の所為で泣いているんだから。
久しぶりに晋助と下校する。
いつもだったら、照れて嫌がる晋助の大きな右手に自分の左手を絡め歩いて帰っていた。
今は・・・繋げない。
ブラブラとしている左手はすごく寂しい。
横目で晋助の顔を見る。まっすぐに前を見て歩く晋助に、心臓がドクンと跳ねる。
カッコイイ横顔に2年たった今もドキドキする。
そんな私を、知ってか知らないのか、晋助は手を繋いできた。
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