…痛い。焼けつくような痛みで目覚める。
『痛ぁぁぁぁい!!』
あまりの激痛に叫んだ。
『…うるせェよ。怪我してんだから、痛ェに決まってんだろ。四日間も起きねェで…。』
眼の前には、晋助の笑顔。
晋助の顔を見て思い出す。
戦いが終わった事を。あの刀から自由になった事を。沢山の人を斬った事を。輿石凱の血を浴びた事を。
自分の中の修羅の存在を…。
『フフフ…』
『何がおかしい』
『晋助、ずっと付いていてくれたんでしょ?眼の下…隈ができていますよ。フフ、ありがとう。』
『フン。鬼兵隊の高杉晋助にここまでさせたんだ。高くつくぜ?』
『お願いが…お風呂に入りたい。浴びた血を…流したい。』
『…じゃあ、俺が入れてやらァ。』
『えっ、何で?』
『お前ェが寝てる時、俺が身体中綺麗に拭いてやったんだぜ?…お前ェ恥ずかしがってんのか?クク‥』
『一応、嫁入り前の娘ですよ』
『お前ェみてェな奴、嫁にいけんのかァ?だいたいガキみてェな裸見ても欲情なんかしねェよ。』
晋助が背中を流してくれている。
『うわぁ…すごく恥ずかしい。って、何で晋助も裸??』
『…一度で済むだろ』
『…私…血をいっぱい浴びました…その姿をみて、どう思いました?嫌いになりました?』
『…なるわけあんめェよ。何度も言わせんじゃねェ。』
『あり‥が‥とう』
安堵の涙がでてきた。
**が泣いている。
自分の中に棲んでいる修羅の存在を初めて自覚したんだろう。
それを大勢の人間に見られたんだ。拒絶されるかもしれないと思ってんだろ?
やっと自由になれたってェのに、今度は人殺しという概念に囚われ生きていくのだろうか?
『傷…残らねェといいなぁ。さらに嫁の貰い手無くなんぞ。クク…』
**は頬を膨らまして軽く睨んできた。
『俺が貰ってやってもいいぜ?』
と冗談ぽく言うと**は微笑んだ。
『晋助の背中流します。…身体に傷たくさんついてる…。』
『獣を飼ってるんだァ。そりゃあ傷もつくだろ。』
背中に重みを感じる。**が頭をつけ、
『あんまり無理しないでくださいね。』
小さい声で呟いた。
風呂から上がり寝るよう促す。まだ体力も戻って無いようですぐ寝付く。
**の頭を撫でながら、出会った頃を思い出した。