船に帰ってくると、船首に**が月に向かって立っていた。
長い髪を夜風になびかせ真っ直ぐ月を見つめている。
急に不安が俺を包む。このまま月に帰ってしまうんじゃねェかと。
あの人みたいに俺の前から居なくなるんじゃねェかと。
動けないままの俺に気づき、
『おかえりなさい。』
『あァ…』
…いつもの笑顔の**で安心した。
**を抱きしめ
『三日後に、俺ァ宇宙に行かなきゃなんねェ。今回の仕事は少し危ねェから、お前ェは連れて行けねぇ…江戸に行け。銀時達仲間の所に。帰るって約束してたしな。約束は守ってやりなァ。必ず生きて迎えに行く。お前ェは俺を信じて待ってな』
銀時の事だ、何かあれば必ず手を差し伸べるだろう。
**と一緒に居たい。**に触れていたい。**を手離したくない。
愛していると気付いた時から、日に日に想いが強くなる。
何時、死んでもおかしくない毎日の中で生きている俺が、幸せにできるだろうか…
否、幸せにする。
『約束だ、お前ェを幸せにしてやらァ。』
二人は、離れるのを惜しむように何度も口付けを交わす。
翌日の夕暮れ時、江戸で降ろされ鬼兵隊と別れた。
歌舞伎町で待っていてくれている仲間達との再会を喜んだ。
あれから一年余り、
万事屋の皆と一緒に夕食を食べ、帰宅し本を読む。
ふと、窓の外を眺めると月が綺麗だった。
…晋助も何処かで月を眺めているのかしら?
と考えていると、携帯電話がなった。
急いで玄関を開けると、そこに愛しい人が微笑んでいた。
**と離れて一年、やっと仕事も落ち着き、俺は歌舞伎町に向かう。
今宵の月も再会を祝福してくれているのか、俺を優しく照らす。
**を、俺のかぐや姫を迎えに…抱きしめる為に。
家の前で電話を掛けると、すぐ玄関の戸が開く。
そこには、愛しい人が笑顔で迎えてくれる。
『約束どおり迎えに来たぜ。』
**は、俺に飛びつくように抱きつく。
俺は、もう離すまいと強く強く抱きしめた。
その後=
晋助と祝言を挙げ鬼兵隊と一緒にいる。
『…おい、帰ェったぞ。』
『父ちゃま、おかえりなちゃい!抱っこちて〜』
『お帰りなさい』
『いい子にしてたかぁ?奏。』
『うん。今日は母ちゃまとお習字ちた。あっ!万ちゃいとまちゃ子と変ちゃいだ!!おかえりなちゃい。』
『奏さん…変ちゃいではありません。フェミニストです!』
とりあえず END
⇒おまけ&あとがき