「あら、随分好かれてるじゃない?
とっても良いおにいちゃんって感じ」

「そうかい?そんな大したことはしてないのだが・・・・」

「今まで守ってきたんでしょう?
なら、あなたはこの子にとってスーパーヒーローと一緒よ
私も、ヒーローのお兄ちゃんに守ってもらおうかしら?」

リズナは冗談交じりでそう言うと、ウルズは真剣な顔をして

「当然だ。君は、何があっても守る。前にもそう約束しただろう?」

そんなウルズの、真剣な眼差しに、少女は儚げな表情を浮かべ

「あら、そうだったかしら?
でも、大丈夫よ。私は人に守られるような立場には居られない
それより、行きましょ?」

ウルズはリズナのその様子を不思議そうに見ていた。

「いや、その前に少しこのモンスターを調べたい。何か掴めるかも知れないから」

そう言って、ウルズは近くに転がるモンスターの屍骸を確認始めた。
リズナがラヴィを預かり、ウルズの様子を見て

「そいつ、背中に噛み傷があるの。
んで、あなたがさっき倒したもう一体は、腹に子供が居そうだった」

「背中に?」

「ええ。その緑色の液体、そいつの血液みたい。
向こうのにも出てたからあっちも重傷負ってたのかも知れない。」

ウルズはその言葉を聴いて、背中を確認する。

―確かに、噛み傷がある。しかもかなり深そうだ。

そう思い、もう一体の方の屍骸も確認する。

―こちらにも、やはりあるか。こちらの方は傷が浅そうだね・・・・

背中を見た後に、腹の方を確認する。
ウルズは、リズナが開けたと思われる傷口から、
リズナ愛用の鉄棒を使いモンスターの腹を抉じ開ける。

―1、2・・・3か。

腹の中には、3匹の子供がおりどれも
リズナに与えられた衝撃が原因で既に息はなかった。
まだ子供だというのに、その姿はグロテスクで親と殆んど変わらない。
もし、リズナが殺していなければすぐにでも
産まれていたかもしれないほど成長は進んでいた。

「大体わかった。教会へ一旦戻ろう」

ウルズ達はそう言って、来た道を戻っていく。
その途中、ウルズがふと疑問に思っていたことをリズナに尋ねた。

「ところでリズナ。アンサズやスリサズはどうした?
先程軍に連絡を取った所、6人此方へ向かっていると聞いた。
1人は君だとして、残り5人は何処に居るんだい?」

その質問にリズナは難しい顔をする。

「それに、どうして君一人こんな場所に居るのかも気になっていた」

「最初は6人居たわ。
私と、アンサズとスリサズ。そして整備士3人」

そして、ウルズから目を逸らしつつ話し続ける。

「整備士3人は、ゾンビどもにやられた。
アンサズとスリサズとははぐれたの」

「はぐれた?」

その言葉にウルズは内心、2人に怒りを覚えた。

―・・・まったく、あの2人は一体何をしてるんだ

「でも、はぐれたというよりは、誘拐されたんでしょうね
後から何者かに、襲われて気絶させられたの。そして目が覚めたらここに居た」

「後ろから襲われただって・・・?」

ウルズは、更に2人への怒りを積もらせた。

―帰ったら、お仕置きが必要だね・・・・

そう思うと、ウルズは溜息をつきながら

「仕方ないね、本当に無事でよかったよ。
とりあえず、教会へ急ごう。2人の捜索はその後だ」

そう言って、3人は教会を目指した


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