―一体なんなのよ、この化け物?
この緑色の液体って、傷口から出てたのと一緒みたいだからこいつの血液?
なんで、血液なんかに身体が覆われてるのよ・・・・

リズナはそう言うと、最初に倒した方に近づき観察を始める。

―気持ち悪っ、でもちょっと人間に近い顔してるみたい・・・?
猿か何かの仲間なのかな。・・・・あ

リズナはそう言うと何かに気付く。
背中に傷がある。
噛まれたような傷だ。

これは、自分が与えた傷ではないのは確かなので
このモンスターは最初から傷を負っていたと言う事だろうか?

―噛まれた後・・・かな、これ。
じゃあ、緑色の液体はここから出てたってこと・・・?

どうやらかなり深そうな傷である。
しかし、こんな傷であれだけの戦闘能力を誇るのだ。
無傷の状態で襲われていたら、危なかったかもしれない。

そう思うとぞっとする。
自分は、かなりの戦闘能力を誇っているし、この特殊能力もそれなりの力だ。
なのに、これだけの戦闘力が有ってもここではまだ足りないというのだ。

―一体、この街は・・・・、ッ・・・!!!

リズナは、後に気付いた。
しかし、気付くのが少し遅かった。
リズナの反射神経でも間に合わないほどの速さで
血まみれのモンスターがリズナに噛み付こうとしていた。

―くっ、まだ息があったか・・・!

リズナは、咄嗟に腕を差し出す覚悟で反撃に出ようとするが


バンッ! バンッ!!!


―!!


少年は、モンスターに2発撃ち込むと、
華麗な足技でモンスターを吹き飛ばしそのまま息の根を止めた。

リズナが思わず声を出す。

「ウルズ・・・?」

少年は、モンスターが確実に死んだ事を確認すると、生存者の少女に声をかける。

「・・・・まさか、君だなんて思いもしなかったよ」

「ウルズ、無事だったみたいね。ま、君はこんな事じゃ死なないか」

「それは、こっちの台詞だ。リズナ、一体どうしてこんな場所に居る?
危険な場所には近づくなと言っておいたのに・・・」

ウルズは、そう言うとリズナに近づき、彼女の頬に手を当てた。

「・・・・無事で、本当に・・・・よかった」

その言葉に、リズナは、余裕げに

「あら、私はこれくらいで死ぬわけないでしょう?
腕一本くらいなくなってもしぶとく生き残ってみせるわよ?」

「…まったく君は…。
それより、ここは危険だ。移動しよう」

そう言うと、ウルズは近くに隠れさせておいたラヴィを呼ぶ。

「ウルズ、その子は?」

リズナが、ラヴィを見て言う。

「この街の生存者だ。他にも数名生存者が居る。
みんな近くの教会に隠れている。そこならば安全だから一旦そこへ戻ろう」

ウルズが、そう言うとリズナはラヴィに近寄ってしゃがみ

「よろしくね。私はリズナ。あなたのお名前は?」

リズナは笑顔でそう言うと、ラヴィは

「わたしラヴィ!おねえちゃんも強いの?」

「ラヴィちゃんね?おねえちゃんも、すっごく強いんだよ。
そこに居るお兄ちゃんほどではないけれどね」

「そうなんだー、やっぱりお兄ちゃん、すごいんだ!」

ラヴィはそう言うと、ウルズに抱きついた。
ウルズはそんなラヴィを優しく撫でる。
その様子に、リズナが面白そうに笑う。



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