ダンダンッ!!


「もう、ほんとにっ!!」

リズナは銃を2発打ち込むと、さっき見つけた鉄棒でゾンビの顔面を殴りつけた。
すると、腐ったゾンビの顔面は潰れ鉄棒の形にめり込んだ。

目の前には、まだ3体。
リズナの足元には、2体の屍が転がっている。

少しでも足元で動くと、自分の服が汚れるのを承知でそのまま足で踏みつけ止めを刺す。

「ここで火葬されたご遺体の皆さんかしら?
大人しく死んでてくれれば、ご家族もきっと凄く安心するわよ・・・・!」

リズナは皮肉を言うと、鉄棒を振り回し溜息をつく

「と、思ったけどご家族も仲間入りしてそうね・・・」

リズナは、そう言うと鉄棒で殴りかかり、後ろから襲ってきた相手には肘で攻撃する。
ゾンビは動きが鈍い為、彼女の身体能力なら簡単に葬り去る事が出来るが腕力などはややゾンビの方が上である様だ。
その為、揉みあいになれば、あちらの方に分があった。
揉みあいに成った挙句、囲まれでもしたら恐らく負けることも予想される。

その為は彼女は必ず一定の距離を保って戦っていた。
2匹倒し、最後のゾンビに鉄棒を投げつけた。
鉄棒は顔面を直撃し、そのまま貫通してゾンビはそのまま即死した。

リズナはそのゾンビに近づき、刺さった鉄棒を引き抜く。
鉄棒は、ゾンビの濁った血がこびり付き、
酷い悪臭を放っていたがなかなかいい武器である為
できることなら使い物にならなくなるまで持ち運びたいのだ。
ただ少し重たいのが、痛いところだ。

リズナは、火葬場の電気を点けながら歩き回っていた為灯りに釣られて蛾が集まってくる。
蛾は鉄棒で追い払いつつ、
殺せるものは叩き落しそれが出来ないなら念動力を使い駆逐している。

しかし、灯りに釣られて集まるものは蛾だけではなかったようで、
できれば遭遇したくないものが彼女に迫っていた―・・・・

―灯りがあると、見やすくなるのはいいんだけど・・・・
これってやっぱ目立ってるわよね。
蛾は灯りに釣られて集まってくるみたいだし・・・・

リズナはそう思うと、ふと窓があったので覗いてみる。

外には無数のゾンビが徘徊しており、そこは調度正面玄関のようで、
そこから出るのは自殺行為と直ぐに分かった。
しかし、よく見れば彼らは徘徊しているだけで灯りには反応していないようだ。

―ゾンビは灯りに反応しないのか。

そして、少し遠くにはゾンビ犬の姿も確認できそれらも灯りには反応していない様子だった。

―この中にいるゾンビは灯りに反応して私を察知しているわけではない・・・?
じゃあ、人間そのものだけを感知して襲ってきてる訳か

昆虫タイプは灯りに反応する。
人間タイプは灯りに反応しない。

けれど、両方人間に反応する。

この違いは一体なんだ?

リズナは、今は考えていても仕方ないと判断するとその場から動き、
正面玄関以外の出入り口を探す事にする。

―私をここに連れてきた連中は、
あのゾンビ達を掻い潜ってこの施設に放り込んだのかしら

いや、さすがにそんな危険な事するわけがない。
ここは一応火葬場ではあるが客商売の施設である。
と言う事は、関係者専用の出入り口もどこかに存在している可能性は十分にある。
ならば、まずそちらに行って見るのがよさそうだ

そして、リズナは近くにあった階段を下りていく。
一階はまだ灯りを点けていない為、真っ暗である。
リズナは、愛用のハンドガンに付いているライトを付け辺りを確認する。

―できれば、これもあんまり使いたくないのよね。
充電もできないし、万が一の事もあるし・・・

幸い今は周りに何も居ないようだ。
とりあえず、どこかにあるであろう電気のスイッチを探してみよう。

―・・・・?

何か音がした。

―なんだ、この音・・・・

水が垂れるかのような音だ。
水滴音と共、ペチャペチャとと言う音も無音の空間に響く。
恐らく、垂れた水滴を踏んで濡れた足がペチャペチャという音を発しているか又は、
元から全身濡れているかのどちらかだろう

こんな音を出しながら歩いてくるのだ。
こんな状況で、濡れた人間が居る筈はない。
奴らにやられて、自分の血液を垂らしながら歩いている可能性は十分に考えられるが、
そんな状態で歩いているならば、
壁伝いか息を切らしながらかなり長い間隔で歩くのが普通だ。
だが、その足音の間隔からしてそんな様子は全く見受けられない。
・・・事実から、少なくとも相手は人間ではない。

リズナは、まず先に銃を構えた。
鉄棒を構えるより先に、銃を構えていた方が遠距離から攻撃できるからだ。

しかし、リズナはあることに気付いた。

―! まさか・・・!

よく耳を済ませば、その足音は微妙にずれている。
普通に歩いてこんなに音がずれるわけはない。
変な歩き方をすれば話を別だが、足音からして相手は普通に歩いている。

と言う事は。

―間違いない、2匹いる・・・・!!

2匹。
この状況で正体不明の敵が2匹だ。
それは、絶望的な状況である。
しかも、周囲は暗闇で見通しは最悪だ。
頼れるものは、ハンドガンのライトと、奴らの足音。そして、自分のみだ。

―どうする・・・・?
前、いや後ろ・・・?

どうやら、前と後から同時に迫ってきているようだ。




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