ウルズは、生存者の女性達に預けていたラヴィの元へ帰ってくる。
「あ、おにーちゃん!」
ラヴィは嬉しそうな顔をして、ウルズに飛びついてくる。
「ラヴィ、待たせたね。良い子にしてたかい?」
「うん!」
ラヴィは嬉しそうな顔をしながら、生存者の女性達に話してもらった事をそのままウルズに話した。
「そうかい?よかったね。
今日はもう疲れただろう?ここは安全だから、ゆっくり休むといいよ」
「おにーちゃんは??」
「僕もちゃんと傍にいるから。大丈夫。」
「うん!ほんとだよ?絶対だよ!」
「ああ」
ラヴィはそう言うと、女性達に貰った毛布に包まりウルズに寄りかかる。
よほどウルズの傍が安心するのか、直ぐに寝付いてしまったようだ。
ラヴィが完全に寝付くとウルズはそっと彼女を降ろすと教会の屋根裏に、向かった。
そこには見張り役の人が一人外を見張っていた。
もう時間は22時を回っていた。
「見張りを交代に来た。代わるよ」
ウルズは、見張り役にそう声をかける。
「え?しかし・・・」
「僕は問題ない。君は少し休むといい」
見張りは申し訳なさそうに、ウルズを見る。
「行き成り入ってきた僕に、見張りを任せるのは信用できないかい?」
「いや、そう言うわけじゃない!
でも、君のような若い子を休ませないで、見張らせるなど」
「問題ないさ。普通の子供とは違うからね。」
そう言うとウルズは、見張り役と場所を交代する。
「ゆっくり休むといい」
そう言って、外の見張りを開始した。
暫くして、3時間ほど経った頃だろうか。
ウルズは、じっとその場に居て見張りを続けていた。
ウルズの視力では、人間の数倍先を見渡す事ができる為ゾンビや怪物が徘徊するのがその場所からは良く見て取れた。
ざっと確認した所、生存者は見える限り何処にもおらずほっとしたその瞬間だった。
ウルズは、そこから見えるとある建物の異変を確認した。
そして、話は彼女の元へ戻る。
彼女は、連れ去られ目覚めた時見知らぬ場所に居たのだ。
そこは、真っ暗で何も見えない。
しかし、偶然にも電気のスイッチを見つけた為、うっかり点けてしまったのだ。
「ん、頭が痛い・・・っ、一体なんだっての・・・
ここは・・・・火葬場?」
灯りが点いた事で彼女の目は効くようになりあたりを確認する。
目の前には、今はもう使われていない仏壇、そして棺桶。
おそるおそる中を確認をする。
―勘弁してよね・・・
そっと、棺桶を開けてみるが中に何もおらずほっと一息をつく。
―それより一体何があったの?
あの時後から襲われて、何か嗅がされて・・・・
そしてここにいる。
意識が薄れていく中確認したのは、男が数人。
トラックの荷台に詰め込まれた事だけだ。
―アンサズ達とバラバラに成ったって事は、あのゾンビたちと遭遇したら一人でなんとかとしろって事ね。
・・めんどくさいわね。できるだけ体力は温存したい言ってのに。
リズナはそう言うと、もう一度辺りを確認する。
―火葬場ってだけで不気味なのに、この状況。
連れてきた連中は、最低の悪趣味ね。
こに居ても仕方ないので、この部屋から外に出ようとした時だった。
ふと天井が気になった。
見なければ、気付かずに外に出れたかもしれないのに・・・・・
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