1話


「・・・っ!」

少年は、目の前にいるヒトの形をするものの頭を勢いよく吹き飛ばした。

「一体、何なんだ、この街は・・・っ!」


次々と迫り来るヒトの形を成すモノ。
倒しても倒しても切りはない。
次から次へと、「彼ら」は、本能に身を任せ少年に襲い掛かる。

少年は、襲い来る「彼ら」を、次々と駆逐していく。

少年の強さは圧倒的だが、如何せん数が多い。
見える限りでは、ざっと100、いや200はいるだろうか。

「君たちは、そんなに僕が美味しく見えるのかい?」

少年は溜息混じりに目の前にいる者達に言ってみせる。

「・・・全く、人間でもないのに、君達のような「タンパク質の成れの果て」に食料として狙われるなんて・・・ね」

少年はそう言うと、襲ってきたモノを蹴り飛ばし胴体を吹き飛ばした。

「・・・・食せればなんでも良い・・・て事か・・・・。全く本能というものは恐ろしいね・・・」

少年はそう言うと、このままでは拉致が飽かないと判断したのか少年の後ろにあったフェンスを勢いよく飛び越える。
8メートルはあるフェンスを軽々と助走もなしに飛び越えるその姿は美しいとしか言いようがない程華麗だった。

フェンス越しに、呻き声や奇声と共に少年を追いかけようとする「ヒトの形を成すモノ」がフェンスに群がった。

さすがにフェンスを飛び越えるようなものは存在しないが、数が多い。
200体近くの物体が、柵に群がっては支えがそう長くは持たないだろう。

少年は、その様子を少し伺うと勢いよくその場から走り去った。




少し走ると、広場に出た。
少年がこの街にきた時、最初に訪れた場所だ。

ここは、先程探索したが「奴ら」の姿はなかった。
・・・・今の所の話だが。

しかし、自分が乗ってきた「ベルゲルミル」の所に戻ろうとした時、先程の者たちと遭遇してしまったのだ。

一体この街はどうなっている?
人の気配がないどころか小鳥一匹付近には見当たらない。
この街の周辺にあるのは、深い森と断崖絶壁の山だけだ。

一体この人里離れた街で一体何があった?

付近を見る限り、つい最近まで人が住んでいた形跡はある。
と言う事は、昔に廃棄された街ではないと言う事だ。

少年は、頭の中を整理する為にこれまでの事を思い出した。


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