「電気が通っているのに何処も電気をつけていないなんて」

「ああ。まだ寝るには早すぎる。まだ6時になったばかりだぞ」

「ちょっと、2人とも」

リズナが、2人を呼ぶ。
スリサズが、リズナに聞いた。

「どうした?何か見つけたのか?」

「ええ、これ見て」

リズナはそう言うと、蛇口を捻る
すると、水道水は流れる。
それを見たアンサズが、事実を述べる。

「水も通ってるのかい」

「それだけじゃないわ、ガスもついてる。けど、電話は繋がらなかった」

「電話だけかい?」

「ええ。電話だけって事は、多分連絡手段だけ切ってるのね」

「・・・じゃあ、この街に灯りがないのは・・・・?」

スリサズがいうと、アンサズが

「人の居る気配がしないのはそのせいかい」

「ええ。本当に人が居ないのよ。一体どうして・・・・」

その時だった。
外から声が聞こえる。


『うわああああああああああああ』

『な、なんだ、こいつらあああああっ!!』

『く、くるなああああああ!!!!』


「今のは!?」

「整備士達か!?」

「いきましょう!」

3人はその声を聞き、急いで外に出たのだが。

「!!!」

時は既に遅かった。
整備士達は、大量の人の形を成すモノに囲まれ、
アンサズとスリサズのスピードでさえも間に合わぬほど、あっと言う間にそれに飲まれてしまったのだ。

「なんだい、こいつらは!?」

アンサズが、思わず声に出してしまった。
大量に居るソレは、人の形をしているが人間ではない。

「人間・・・では、なさそうだな・・・!」

スリサズは、戦闘態勢を構える。

「腐ってるの・・・!?」

リズナが、大量のソレを目の当たりにし、
その悪臭とその独特の音にいち早く気がついた。

「なるほど、この独特の臭いは腐臭ってわけか!」

「へぇ、じゃあこの音は、腐肉が地面にすれる音かい?」

アンサズと、スリサズがそう言うと襲い掛かる人の形を成すモノと格闘を始めた。

「リズナ、下がってろ!」

「そうだよ。君は、下がってるんだ。これアレだろう?
この前ケンタ達と見た映画に出てたゾンビってのだろう?ゾンビっていうのは人間を捕食するって映画でやってたしね。
それにしても本当にこんなものが存在するとはねぇ・・・!」

アンサズと、スリサズはリズナを庇いながら戦闘開始する。
しかし、数が多く倒しても倒しても後から沸いて出てくるのだ。

「ち、キリがないよ!」

「2人とも、こっちからもくる!」

リズナが、叫び声と共に後ろを振り向くと背後からも大量のゾンビ達が近づいてた。

「全く数が多いねぇ・・・!どうする?」

「一旦退いた方が良さそうだな」

そう言うと、スリサズは近づいてきたゾンビを殴り周囲を確認する。

「スリサズ、あそこに脇道がある。あそこに入るよ」

「ああ、わかった。リズナこっちだ、来い!」

「ええ!」

3人は、脇道を入り大量のゾンビ達を振り切った。




<6時間前>

「お兄ちゃん、ここだよー!」

ウルズ達は、アンサズ達がこの街に到着する6時間ほど前に教会に到着していた。
病院からは、それほど離れてはいなかったのだが、
ゾンビや狂犬達を蹴散らしながら来た事と、ラヴィの小幅に合わせてきた為時間を要した。

「ここかい?」

「うん!」

教会の正門は厳重な衛が張られ入れそうにもない。
どうやらこの厳重さからして、人が中にいるのは間違いなさそうである。

―さて、どうやって中へ・・・・ ん?

教会の2階から、誰かが覗いている。
どうやら、見張りらしい。

これは、有り難い。
話を通して、せめてラヴィだけでも中へ入れて貰えればいいのだが・・・・

「すみません」

ウルズは、見張りらしき人物に声をかける。

「!!」

見張りは、急にこちらが話しかけてきたのに驚いたのか酷く動揺していた。

それもそのはずだ。
2階とここからではかなり距離がある。
そんな場所に、人がいるなど気付ける人間は滅多にいないだろう。

「な、なんだ!?貴様、何者だ!?」

見張りはおどおどしながら、ウルズを警戒する。
それにウルズは、落ち着きながら

「分け合ってこの街に入り込んだ軍の者だ。もし宜しければ、中へ入れて頂きたい。
生存者も一人保護している。小さな女の子だ、かなり疲労もしている為休ませてやって欲しい」

ウルズは、手短に用件を話すと見張りはさらにおどおどし

「そ、そんなこと信用できるか!!」

ウルズは、ふぅ・・・と溜息をつくとさらに続けた。

「僕があの化け物と同じに見えるかい?
もし此処に外を連絡できる機器があるなら軍と連絡を取り、貴方方の救出も要請するつもりでいます。
それに、この街の状況など詳しく分かれば、軍の救援が来る前に貴方方を救える可能性もある」

その言葉に見張りは、

「ほんとうか!?」

「ああ、この状況で嘘などついても仕方ないだろう?」

見張りとそんなやり取りをしていると、ラヴィが痺れを切らしたのか

「お兄ちゃんはねー!あの怪物一人で一杯倒せるんだよっ!」

その言葉に見張りが驚き、

「!! ほ、ほんとうなのか!!?」

ラヴィが思いがけない事を言った為、ウルズも苦笑しながら

「ああ。多少ならば・・・ね」

と、答えた。
見張りは、待ってろと告げると奥へ入ってしまう。
すると、暫くして厳重な守りが張られた正門が開きだす。
すると、開いた先には先程の見張りと、
この教会と生存者達の指導者らしき人物が立っていた。


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