―ビースト・・・・ではなさそうだ。

ビーストとは、前の大戦で世界に宣戦布告した、「帝国」が作りだした兵器である。
巨大化、凶暴化させた挙句、闘争本能を植え付け戦わせる為に改造された哀れな動物達。
しかし、それでも見た目は普通の動物とそれほど変わらずただ巨大化させただけというだけのものが多かった。
極まれに一部を機械かさせた物も存在したが、今目の前に居る謎の生物とは全く別物である。
今目の前でウルズ達の命を脅かそうとしている生物は、動物とも人間とも言いがたいグロテスクな姿形をしている。

―姿から判断して、攻撃方法は牙による噛みつき攻撃と、手足による打撃か・・・

まず一番危険なのは牙による攻撃だろう。
生物が、毒を持っているならば噛み付いて毒を与えるのが一般的だ。
常に未知数の相手と戦う時は、いくつもの可能性や奥の手を隠し持っているべきだと考えるべきだ。
今目の前居る生物も例外ではない。
僕にとって、毒など全く効果もないも同然だがラヴィはそうではない。
ただでさえ、まだ幼い上こんな小柄なのだ。
奴の牙や攻撃に当たれば、毒が回りきる前にそのダメージで死に到る可能性もある。

「ラヴィ下がってるんだ」

「え?う、うん」

ラヴィを下がらせる。
この暗闇の中では、ラヴィには何が居るかも分からない。

「お兄ちゃん、一体何がいるの・・・・?」

ラヴィの表情が歪む。
不安と恐怖で身体を縮ませる。

「そこの物陰が安全だろう。そこで待っていて」

「うん・・・」

ラヴィも物陰に隠れさせると、ウルズは点滴用のスタンドを持ちやすい大きさに折り曲げた。
そして、ゆっくり謎の生物に近づいていく。
素早く近づき先制攻撃で反撃の有無を言わせずに葬り去るのもいいが、
この生物がこいつ一匹だというのも考えづらい。
もしまた何処かで出会うことになった時の為に、情報は少しでも多く入手しておきたいのだ。
そのためにウルズは、わざわざゆっくり近づき、相手から攻撃させる方法を選んだ。

謎の生物がウルズに気がつく
生物は、低い鳴き声を上げウルズを見つめ、獲物だと判断したのか突進してきた。
生物は、大口を開けウルズに噛み付こうとするが、ウルズは手に持ったスタンドで受け止める。
牙からは、謎の液体が染み出てくるのが見て分かる。唾液ではなさそうだ。

牙から出た液体がスタンドに触れると、スタンドが見る少し湯気を上げる。

―溶解液・・・だと!?

想定外だ。
毒の想定はしていたが、奴の口から吐き出されるのがまさか溶解液とは。

溶解液を持つ生物など滅多に存在はしない。
食虫植物で溶解液を持っているものは何種か存在するが、
動物で溶解液持っているものなど殆んど存在しないはずだ。

一滴だけで、この威力では噛み付かれたりすれば人間はひとたまりもない。
ウルズでさえ食らえば多少のダメージを負うだろう

―一体、何なんだこの街は・・・!
生きる死体の次は、溶解液を持った謎のモンスターだって?

あの屍達も、このモンスターも何千年も生きてきたがこんな現象に出くわしたのは初めてだった。




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