「お兄ちゃん。ここ行き止まりだね・・・・」

「そのようだね」

どうやら、来た道以外は封鎖されていたり、障害物で通れなかったりと
どうやら先程の道以外に進める場所はないらしい。
来た道を戻るのが一番安全なのだろが、ラヴィが言うにはそっちからでは教会にいけないらしい。
どうやら、そっちは何かの事故で通行止めになっているらしくラヴィが、病院へ来た道である
先程の道からしか先へ進めないというのだ。

―あまり気は進まないが、仕方ないか・・・

ラヴィを後ろに下がらせウルズが、先陣を切る。
嫌な気配は徐々に近づき、ほんの少しだが動きが分かる範囲まで近づいた。

―遠目から見ただけだが、人型なのは、間違いなさそうだ。
けれど、なんだ?先程見た物とは動きが違う。

先程の物よりも明らかに機敏な動きをしている。
それはまるで動物のような動き方だ。

「ラヴィ、絶対に僕から離れてはだめだよ」

ウルズは、そう言うと近くに倒れていた点滴用のスタンドを手にした。

気配が徐々に近づく。

人間であるラヴィには、この暗闇は辛すぎるだろう。
恐らくこの気配も、何がいるかさえも判断はつかない。

ウルズは、ラヴィの手を優しく握る。
≪大丈夫、ここにいる≫と安心させる為だ。

ラヴィの心拍数が上がっているのが良く分かった。
目が闇に慣れても、人間の目で見渡せるわけはない。

そして、ウルズの目にようやく気配の正体が映りこんだ。

―・・・生きる屍とはまた違うようだね

それは二足歩行ではあるが人ではない。
顔は、人間の赤ん坊のようだが牙が出ており、人間とカンガルーを足して2で割ったような姿だ。
とは言っても、カンガルーのように毛がふさふさな訳ではなく、皮膚の表面はぬるっとした謎の
粘液で覆われている。


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