しかし、少女が生き残っていたと言う事はまだ他に誰か生きている可能性が出てきたと言う事だ。

ならば一刻も早く他の生き残りを見つけて救助せねば。
一刻の猶予もない。
奴らの獲物を見つける能力は凄まじい。
少しでも遅れれば、いとも簡単に生き残り全員が餌食となるだろう。

少女が、大分落ち着くとウルズは優しく声をかけた。

「もう大丈夫かい?」

「・・・・うん」

「そうか。よかった。では移動しよう、ここに居てもいずれあの怪物に見つかってしまうからね」

「・・・!や、やだ・・・っ!こわいよっ!」

少女はウルズの言葉に身体を震わせ座り込んでしまう。
よほど恐ろしい目にあったのだろう。目の前で誰かが食われるのを目のあたりにしたのかもしれない。


「心配しないでいい。僕が君をちゃんと護るから」

ウルズはそう言って、少女を優しく安心させる。
しかし、少女は涙ぐみながら

「いやだよ・・・。そしたらお兄ちゃんも食べられちゃうかもしれないもん・・・・。パパやママみたいに・・・・」

・・・・この子の両親は奴らに殺されたのか。

ウルズは、少女に微笑んで見せた。

「大丈夫だ。僕のことは心配ない。今だってあの怪物を倒しながらここまで来たんだよ」

「え!」

「だから、あの怪物が襲って来ても大丈夫。やっつけてあげるから」

その言葉に少女は、安心したように始めて笑顔になった。

「お兄ちゃん。すごい!強いんだ!」

「ああ、そうさ。だから、一緒にここから出よう」

「うん!」

ウルズはそう言うと少女に手を差し伸べる。
少女はウルズの手を取り、ぴょんっと飛び跳ねた。

ウルズの手を握りながら、手術室を出るとウルズはあることを思い出した。

「そうだ。君の名前を聞いていなかったね?僕はウルズ。君は何て言うんだい?」

少女はその言葉に、

「ラヴィ!」

「ラヴィか。では、ラヴィ、他にどこか人が居そうな所は知ってるかい?」

「えっと、きょうかい?きょーかいってとこ!」

「教会?」

「うん!きょーかいのしんぷさんが、地下にみんなを集めてるんだよ!」

「教会の地下か。確かに、地下に頑丈な扉でも設置すればかなり安全だね。
わかった。そこへ向かおう、場所はどこか分かるかい?」

「うん!大丈夫!」

「よし、そうと決まれば行こう」

ウルズはラヴィは教会へ向かう為歩き出した。
しかし、ウルズは少し先に異様な気配を察知してしまう。

―何か居る。

気配も遠い為まだそれが何かかは分からない。
ラヴィも居る事だし、できれば未知数である敵には遭遇したくはない。
ウルズは、気配のする道を通らずに別の道を探す事にしたのだが・・・・


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