ウルズは、ゆっくり手術室の扉を開けた。
扉が開くと同時に、連中が襲い掛かってくると予想していたのだが、
室内の視界に入る限りでは、人の形を成すモノの姿は見えなかった。

―・・・・姿を隠すような知能はないと思っていたが・・・。

ウルズが少しずつ歩き出す。
すると、やはり奥で微かな吐息が聞こえるのが確認できた。

―やはり、何か居るようだね・・・

ウルズは、銃を温存する為手術室にあった、消毒器用のスタンドを手にした。
かなりの重さだが、彼にはそんな事気にならないほどだった。

―ここは武器に出来そうな物が多くて、戦い易そうだね。

確かに、注射器、メスなどの器具はいくつもあり武器には困らなさそうではある。
相手が武器を使うなどの知能を持っていないのならば尚更、彼にとっては有利な場所であった。


―吐息が近い・・、ここを曲がれば居るはずだ

ウルズは、スタンドを構えた。


―――――!!

「!」

ウルズは、構えたスタンドを降ろした。
それもそのはず。そこに居たのは人の形を成すモノではなく一人の少女だったのだ。

「・・・っ!」

ウルズを見ながら、がたがたと身体を震わせる少女。
見た目は、まだ8〜10歳くらいであろうか?
ウルズを見て、涙ぐみながら恐怖に顔を強張らせている。

―この様子からして、この子は生きている人間か。まさか生き残りが居たとは・・・・

ウルズはそう思うと少女に近寄り、優しく声をかけた。

「大丈夫、怖がらなくていい。僕は君の味方だ」

少女はそんなウルズをチラッと見て言う。

「お、おにいちゃん。あの怪物の仲間じゃないの・・・?」

「そうだよ。僕を見れば、あの怪物と違う事は直ぐに分かるだろう?」

ウルズは、そう言い少女の頭を撫でる。
すると、少女の瞳から大量の涙が溢れ出しウルズに抱きついて来るのだった。

「怖かっただろう?もう大丈夫だよ」

ウルズはそんな少女を優しく抱きしめ、優しく安心させるよう声をかけた。
少女は、泣きじゃくりウルズから全く離れようとしない。

よほど怖かったのだろう。
当たり前だ。
こんな化け物ばかりの場所で、こんな幼い少女が一人で今までずっと隠れていたのだから。
見つかれば、確実に命はない。
幼いながらも、生き残る為必死だったのだ


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