―・・・・これで、この犬達は掃討できたね・・・

ウルズはそう思うと、街の出入り口に向かおうとした所、後ろから大量の呻き声が聞こえてきてしまう。


―・・・・。

ウルズは、少し派手にやり過ぎたか・・・と、反省交じりに溜息をつくと、後ろを振り返る。
大量の人の形を成すモノが徐々に集まり始めていた。

―音も知覚するのか・・・?

ウルズは、自分の視界、そして耳に聞こえてくる物全てに注意を払っていた筈だが、
先程までは彼らの気配は感じられなかった。彼らに、気配を消すなど高度な事が出来るとは思えない。
と言う事は、かなりの遠距離から集まってきたと言う事になる。
それも、ウルズの知覚範囲外から。

しかし、そんな遠距離に届くような音は出ていなかったはずだ。
ウルズの持つ銃も、サイレンサー付であるし、狂犬たちも唸りはするだけで
遠吠えなどはしていなかったはずだが・・。
一体どうやって集まってきたのか・・・・

そんな事はさておき、彼らが自分の後を付いてくるとなると、
このままベルゲルミルの所まで戻れば彼らをこの街から出す事になる。
被害は最小限に抑えたいので、それはなんとしても避けたい所だ。
しかし、応援を呼ぶにはベルゲルミルの所に戻るのが一番手っ取り早い方法でもある。

―・・・彼らがどうやって僕の居場所を探っているのか分からない以上は、
ここから出るのは危険かもしれないな・・・。

森の中に人家がないとも限らない。
近くに軍の研究施設もあったはずだ。
森の中で彼らに散り散りになられては、困る。

彼らの知覚など詳しい事が分かれば振り切れるのだが・・・・

―専用の通信機がなくても、軍に連絡はできる。
・・・・街の中で連絡できる場所を探すか。

ウルズは、その決断すると彼らを振り切るため、脇道を駆け抜けていった。


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