―・・・・

それは四足歩行していた。

―・・・犬、なのか?

見た目は犬そのものだ。
ただ様子が可笑しい。
犬が興奮すると、口から唾液を撒き散らすなど普通な事だが、その動物は興奮している様子はない。
その場を、行ったりきたりしながら、息を荒げて唾液を撒き散らしている。

明らかにおかしい。

しかも、よく見れば周りに2匹、いや4,5匹いるではないか。
先程の人の形を成すモノと違い、群れを形成しているようだ。

動物タイプと言うからには、機敏な動きをすると想定した方が良いだろう。

ベルゲルミルの元にはあの場所を通らないと戻る事は出来ない。
どうやらアレを避けては通れないようだ。

ウルズは、銃を手に持った。

襲ってこない可能性を信じて、10メートルほど近づいてみたが・・・


グルルゥ―


10メートルは離れているというのにどうやら、感知範囲内らしい。

唸りをあげたと同時に2,3匹こちらに駆け抜けてくる。
ウルズは、手に持った銃で先頭の犬の足を打ち抜く。

―!

一匹に見事命中するが、それを期に狂犬達は散開する。
四方から、ウルズ狙いを定めて来る狂犬。

ウルズは、飛び付いてくるとタイミングを見計らい、上手く叩き落していく。

キャンッ!

狂犬達は、地面に勢いよく叩きつけられ、そのまま息絶えるものも居れば、まだ立ち上がってくるものも居た。
息絶える狂犬は打ち所が悪かったのか知らないが、
立ち上がる方はやはり先程の人型と同じで、痛みを感じていない様子だ。

息を荒げて、唾液を撒き散らし、瞳は完全に焦点が合っていない。

ウルズは向かってくる犬を蹴飛ばすと、狂犬は口から血を噴出すが、
それでも尚ウルズに牙を向ける。

―・・・!今の一撃、普通の動物なら死んでいるはずだよ・・!

どうやら、やはり頭をやらなければこの動物も死なないらしい。
足をやれば動きを止めることは出来るのだが、
茂垣ながらもこちらに向かってくる様子は、ウルズでさえも狂っているとしか思えなかった。

―キリがないね・・・!

確実に殺さなければ、だめだ。
ウルズは、完全に頭部に狙いを定めた。


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