2話
ウルズは、回想をやめ、これからどうすべきか考える事にした。
やはり、一番の得策はベルゲルミルの元へ帰り仲間を待つべきなのだろうが、
この街が一体どうしてこうなってしまったのか調べる必要もある。
この街だけの現象ならば、まだ被害は最小限に抑えられるが、これが世界中に広まれば大惨事だ。
ウィルスによる病気が原因だとしても、人間達がそれを治療するワクチンを開発するまで時間はかかる
もしかしたら、ワクチンなど開発できないかもしれない。開発する術を見つけても完成が間に合う保証もない。
何かの、事故や他者による仕業だったとしても、この事態をこれ以上広めるわけには行かない。
唯一の救いと言えば、この街の周りが深い森林や険しい山中だと言う事だろうか。
彼らが、他の獲物を求めて人里に降りるにはそれなりの時間も要するはずだし、
派手にこの街を爆破し彼ら全てを根絶やしにする事もできる。
それに、どうやら彼らは、どう言う訳か範囲内の獲物を感知し、その場所に寄ってくるという習性もあるようだ。
彼らに、僕の戦闘能力を見極める知能があるとは、思えない。
ならば、遠い獲物に向かうより近い獲物に向かってくるだろう。
と言う事は、この街に僕が居れば、彼らは僕を狙ってくるはずだ。
今自分が、判断を誤まれば、人間はあっと言う間に絶滅する。
ウルズは直感的にそう思った。
―けれど、一旦ベルゲルミルに戻って軍には報告した方がいいな・・・。
軍に報告すれば、この街ごと吹き飛ばすなど処置も考えるだろう。
報告した後は、またこの街に戻り彼らを足止めすれば、時間が稼げるはずだ。
そして、それと同時にあることも考えた。
先程自分は、ベルゲルミルの修理を要請するため応援を頼んだ。
応援を頼んだと言う事は、暫くすれば他のものがここへやってくると言う事だ。
もたもたしている暇はない。早くベルゲルミルに戻りこの事態を連絡しなければ。
―・・・僕も人間達に関わって少し平和ボケしたね・・・、通信機をベルゲルミルの中に置き忘れるなど・・・・
ウルズは、自分の失態に溜息を付いた。
ウルズは仕方なく、通信機を取りに戻るべく、ベルゲルミルに戻ろうとしたが・・・
街の出入り口に足を踏み入れようと歩き出した時、彼の視界に嫌なものが映りこんだ。
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