「ウルズ?大丈夫かい?」

スリサズとアンサズが
心配そうな顔をしていた

「ああ…」

そうか…
僕達は、
人の悪い部分しか
見えていなかったんだ

僕達の周りの人間が
ソレに欠けていたから…

僕らは“ソレ”を知れなかったんだ


「ウルズ?」

「人間と言うのが…
少しわかった気がする」

「え?」


人間は儚くて、愚かだ
でも、温かい。


僕らマシンナリーチルドレンとの
決定的違いは多分それだ

僕らを作ってくれたフェフ博士は
何故人間を…
嫌いになってしまったのだろう
彼が、そうじゃなかったら僕らも
違う形で人間と、
触れ合うことができていたかもしれない。

憎みあうことは
なかったかもしれない。

今の僕ならはっきりと言える。

僕は人間が嫌いじゃない。

人は醜くて、汚い部分もある
けれど
その全てが人間じゃないんだ。

僕は見てきた。

人の汚い部分も、優しい部分も。

イレギュラー…
君達が守りたかった物
少しわかった気がする。

ウルズは何かを掴んだ。
自分達が忌み嫌ってきた
人間の事を。
人の美しい部分
「優しさ」
に触れたウルズは、本当はもっと
早くから気づいていたのだろう。

「人は確かに争いを繰り返す。
だけど…
それが全てじゃないんだ。」

「ウルズ…?」

スリサズがウルズを呼ぶ

「あの者は…
この星は腐ってると言っていた。
けど全ての人間達が、
そうさせているわけではない」

「ウルズ、君…!」

アンサズがウルズの名を呼ぶ。

「この星は腐っていない…!
何故かはわからないけど…
今ならそう思えるんだ…!」


人間全てが
悪いわけじゃない。
そう、わかった今なら


ウルズは何かを吹っ切れたような表情で皆を見る。

「そうだよ!
僕達があんなに頑張ったんだぞ!
腐るわけないじゃないか!」

スリサズがウルズに言う。
それに続いてアンサズが、

「スリサズの言う通りだよ?
僕達の星
そう簡単に腐らせてたまるもんか」

2人はウルズと共に笑い
そして最後に一つだけ、
ウルズは彼女に問う

「僕達マシンナリーチルドレンは」

ウルズは瞳を閉じた。

「…一体何のために…
生まれてきたんだろう?」

さすがに、
その質問にはスリサズとアンサズが
顔を曇らせた。 

「ウルズ、なにを言って…?」

「僕達は地球を管理し…
再生するため…!
生まれてきた存在にきまってるじゃないか!」

スリサズもアンサズも即答するが、
ウルズはその返答に
納得できない様だった

「…でも、今の僕達は
イレギュラーに負け、
地球を管理する存在ではなくなった」

「それは!」

「ならば、僕達の存在理由はない。
そうだろう?」

2人はその言葉に黙る。
そして、ウルズはさらに続ける。

「僕らは、存在価値の無くなった――…」


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