2話 老婆と機械仕掛けの子供 
・・・・・・また、か

これは…一体なんだ?

…わからない

…これは、でも…

いや、見るはず無い・・・・

見れる、はずないんだ…


じゃあ、これは?

・・・・?
ここは・・・・?」

少年が意識を取り戻したのは
素朴なベッドの上だった

「おやおや
ようやく目覚めたようだの」

「ッ!?」

少年は横から聞こえた声に
即座に反応し、身構えた。

「あーらあら…
そんな体でどうする気なのかのぅ」

少年は声のするほうを確認した。

もし自分の命を狙う
『誰か』だったとしたら、
今の自分に戦える力があるか
生き残る力があるか、
それを真っ先に考えた。

それは、
戦闘用の兵器として作られた『モノ』
にとって当然の判断だ。

しかし、考えだされた結果は
今の自分には戦う力が、殆ど残されていない
と、いう“真実”が導き出された

だが、今の状況では命を狙うものに出会った場合
『交戦するしかない』
彼はそう思った


だが、今の状況では命を狙うものに出会った彼は自分の考えが、
おかしい事に気づいてしまう

『死んでも良い』と思っていた
はず…、なのに・・・

今はこうして、
生き残る事を考えている。


僕は死にたいのか・・・・?
本当は生きたいのか?

…わからない。

「どうしたんだい?
また具合でも悪いのかい?」

少年が我に返り、
無意識に声の主を確認した。
そこには、7,80位の老婆が立っていた。
少年はそんな老婆を見て、
彼女の戦闘能力は皆無と判断する。

「だいじょぶかい?
熱でもあるのかねぇ?」

老婆は少年のおでこを触ろうするが
少年は目にも留まらぬ速さで
その手を振り払う。
その速さで振り払われた手は普通ならば、
引き千切られてもおかしく無いはずの速さであった。

しかし、老婆の手は引き千切られるどころか、
怪我のひとつもしていない。

手加減なんて…
していないはずなのに。

この壊れ欠けた体が原因なのか、
それとも僕は無意識に手加減を…?
老婆は振り払われた手を優しくすすり、
笑顔で少年に話しかけてくる。

「元気そうだねぇ。よかったよお」

老婆はテーブルに乗っていた果物を手に取りナイフを取り出した。
その行動に少年は、またもや戦闘の準備をする。

しかし老婆はそのナイフを少年に
向ける事は無く果物の皮を剥き
少年に差し出してきた。

「ほら、お食べ?
きっとお腹が空いて倒れて居たのかもしれないよ」


倒れていた?
僕が?

少年はふと意識が消える前の事を思い出した。
数時間前、自分は確かに気を失った

―僕の体は…もう…


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