11話 月 
ウルズはヨシマの部屋に来ていた

「誰じゃ?」

「僕だよ、ウルズだ」

「おやまぁ。
ウルズかい。どうしたんじゃ?」

ヨシマが部屋から出てくると、
ウルズはヨシマに用件を伝える。
彼女は月に行くと聞いた時、
一瞬心配そうな顔をするも
直ぐに笑って見せてくれた

その笑顔に
ウルズは不思議と違和感も覚えず
彼女の部屋を後にする。

部屋に帰る途中
スリサズとアンサズが立っていた

「お前達、何をしているんだい?」

「月に行くのはいいけど
どうやって行く気
なんだろうねぇ?」

「何か方法があるんだろう…
どの道何か対処しなければ
僕らの体は長くは持たない」

そんな会話の中
スリサズは不安そうに言う

「…僕達は生きて
何をすれば良いのかな」

力のない声で2人に尋ねると、
ウルズは少し微笑んだような顔で
答える。

「この世界を知って行こう
そして生きる意味を見つけるんだ」

そんな言葉にアンサズは感心して

「君は、ほんとうに変わったねぇ」

「そうか?僕には分からない」

そんなウルズの言葉に
アンサズは悟ったかのように言う

「多分…
これで良かったのかもしれないね」

「どういう意味だい?」

とても不思議な事を
言うのでアンサズに尋ねると
彼はこう言った

「もし、ウルズも僕らも
あの時のままだったら
…きっとこの体でも旧人類を
滅ぼそうとしてただろうね」

アンサズの言葉を
ウルズは黙って聞いていた

「けど、僕達は
それをしようとしない。
何故かわかるかい?2人とも」

「・・・僕の、いや僕らが変わり始めている証拠だとでも?」

「そうさ。
そう思うよ、僕はね」

何かを悟ったような表情で
その話をし終えると、
少女の声が後ろから飛んでくる。

「ここにいたのね
月に向かう準備ができたから
いつでも行けるわ」

「ありがとう。今行く」

「え?」

リズナが驚いた表情で
その声の主を見ると、
その声の主はいつもの調子で

「どうした?」

「…いや
何でもないわ」

「そうかい?
じゃあ。行こう、2人とも」

ウルズが外へ向かうと
それに続き2人も外へとでていく。
そんな3人の後ろの姿を
見つめながら少女は

「あの子…
今ありがとうって・・・・」

少女は何か嬉しくて微笑んだ。


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